武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

南インド紀行(2015.2.14~27)

南インド紀行(8)~マドゥライの旧市街にて

投稿日:2015年3月7日 更新日:

耳につんざくクラクション。

 

それがけたたましく街中に鳴り響く。

 

リクシャー(小型三輪のタクシー)とオートバイ、さらにバスまでもがレースさながら、猛スピードで飛ばしています。

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横断者がいても、まず止まってくれず、ブレーキをかけずにハンドル操作で衝突を避けようとします。

 

危ない、危ない~!!

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そんな中、いろんな服装をしたあまたの人がそれぞれマイペースで歩いています。

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頭に大きな荷物を載せて歩いている人。

 

オレンジ色の僧衣に身を包んだ巡礼者。

 

だぶだぶの制服を着た小学生。

 

杖を手にし、この世を悟りきったような目付きの修行僧。

 

路上にしゃがみ込んで物乞いしている人。

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歩きながらスマホをいじくっているイケメン青年。

 

土産物を売りつけようとする人。

 

黒いヒジャブを身に着けたムスリム(イスラム教徒)の女性。

 

パリッとしたワイシャツ姿のビジネスマン。

 

その他諸々……。

 

サンダル履きの人が目立ちますが、裸足の人も結構、多いです。

 

そこに牛が悠然と闊歩~(*^^*)

 

多様性の極致!!

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巨大なミーナークシー・アンマン寺院を核とするマドゥライの旧市街は、聖俗、そしてひと昔前と今が渾然一体と化しており、終日、得も言われぬ世界を形成しています。

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マドゥライはタミール・ナドゥ州のほぼ中央に位置する人口約100万人の都市です。

 

100万都市といえども、インドではごく普通の地方都市。

 

街全体に何となくスパイシーな香りが漂っているのも刺激的です。

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どこからともなく流れてくるエキゾチックなインド音楽、そこに住民たちの大きな話し声がかぶさる。

 

音量的にもボリューム満点です~(笑)

 

それに散乱しているゴミが中途半端ではない。

 

そのゴミを聖なる牛たちがあさっています~!

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とにかく、すさまじい喧騒と活気、そして猛烈に雑然とした雰囲気。

 

ぼくが抱いていたインドの都会のイメージそのものでした。

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最初の滞在地トリヴァンドラム(ケララ州の州都)はもう少し整然としていましたが、東隣のタミール・ナドゥ州に入ると、「インド」らしい空気がみなぎってきます。

 

北インドではさらに濃厚かもしれませんね。

 

何だか幼いころ親に連れていってもらった大阪・新世界の界隈とよく似ています。

 

もちろん牛は姿を見せなかったけど~(((^^;)

 

昭和30年代の懐かしい情景と重なり、マドゥライの旧市街に入っても、あまり違和感を覚えませんでした。

 

何もかも全てが整いすぎている現代日本の生活に浸っていると、目の前で繰り広げられているホットな日常に妙に安堵している自分がいます。

 

「汚い」「雑然としている」「不潔」「ワケがわからん」…。

 

こうした定型的なモノサシでは推し量れない空間が広がっているのです。

 

これも人間が営んでいるひとつの社会なんですねぇ。

 

所詮、異邦人の一介の観光客なので、溶け込むのは無理です。

 

でも、限りなく距離感を狭めて、「彼ら」と接したい。

 

異なる文化、生活、風習を否定的にとらえず、少しでも理解したい。

 

炎天下のミーナークシ寺院に佇みながら、そんなふうに思いました。

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この寺院、絵はがきではこんなに美しいんです~(笑)

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この寺院の中が荘厳でした。

 

カメラの持ち込みは禁止なのに、携帯・スマホはOK。

 

オモロイですね、この発想~(#^^#)

 

内部はこんな感じです。

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-南インド紀行(2015.2.14~27)

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。