武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

大阪 映画

映画興行120年目(2月15日)、刺激的な1日になりました~(^_-)-☆

投稿日:2017年2月16日 更新日:

昨日、2月15日は、日本で初めて映画興行が催されてちょうど120年目でした。

 

明治30(1897)年2月15日~28日、南地演舞場(現在のTOHOシネマズなんばが入る東宝南街ビル、なんばマルイ)で、フランス・リヨンのリュミエール兄弟が発明したシネマトグラフが一般公開されました。

 

その装置を導入したのが稲畑勝太郎さん。

 

稲畑産業の創業者で、大阪商業会議所(大阪商工会議所の前身)第10代会頭に就任し、関西実業界の重鎮になった御仁です。

 

そのミナミはトリイホールで開催されていた『精華千日前キネマ映画祭2017』の最終日の昨日、稲畑さんのひ孫に当たられる現在の稲畑勝太郎社長(同じ名前!)がスピーチされました。

 

登壇前に挨拶させていただきました。

 

非常に物腰の柔らかいジェントルマンでした。

 

拙著『大阪「映画」事始め』(彩流社)をお読みになっておられたようで、「大阪の映画を書きました武部と申します」と言うと、「あゝ、武部さんですか」と。

 

「本を書くうえで、京都での試写が日本初の映画上映ではないことがわかり、ひいお祖父さんの業績にちょっと水を差してしまいました」

 

ぼくが恐縮しながらそう言うと、稲畑社長は笑いながら、

 

「いえいえ、こういう事実がわかったのはいいことです。よく調べられましたね」

 

何だかうれしかったです。

 

拙著には稲畑さんのシネマトグラフにも、荒木和一さんのヴァイタスコープと同じくらいリスペクトの気持ちが込められています。

 

改めて社長に一冊、謹呈させていただきました。

 


登壇された稲畑社長は、「映画の歴史にお詳しい武部さんを前に私が説明するのも何ですが……」と前置きし、シネマトグラフに関する曾祖父の足跡をわかりやすく解説されました。

 

その中で、「荒木和一という人が京都のシネマトグラフの試写の前、1896年12月、ヴァイタスコープの試写を難波の福岡鉄工所というところで行っていたそうです。まず間違いないと思います」と仰ってくださいました。

 

続いて、活動弁士付きでリュミエール作品の数々とドイツ・ムルナウ監督『サンライズ』を楽しみました。

 

このあと、『難波が日本映画のふるさと 街歩きツアー』。

 

「ミナミまち育てネットワーク」の会員と南海電鉄の社員向けのイベントで、参加者は10数人。

 

ぼくがガイドを務め、法善寺⇒南地演舞場跡(東宝南街ビル)⇒福岡鉄工所跡(なんばパークス入り口、「難波中」交差点)を巡り、「ミナミの大阪映画」、「日本初の映画興行」、「日本初の映画上映」について説明しました。

 

NHKも取材に来ていました!

 

福岡鉄工所跡で記念撮影

夜は、そのNHKの担当者、映画渡来120年を撮り続けているフリーの映像ディレクターH氏の3人でミナミを飲み歩きました。

 

実に刺激的な1日でした~(^_-)-☆

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。