武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

映画

傑作! 心をとろけさせるポーランド映画『COLD WAR あの歌、2つの心』(28日公開)

投稿日:

すごい映画と出会った~❗

28日から公開される『COLD WAR あの歌、2つの心』。

ポーランド映画界の至宝ともいえるパヴェウ・パヴリコフスキ監督の新作です。

3D映画が花盛りの昨今、渋いモノクロ映像で、それも画面アスペクト比が「1:1.33」とほぼ正方形に近いサイズの中で濃密な物語が紡ぎ出されます。

冷戦時代のポーランド。

民族舞踊団の歌姫と舞踊団養成所の指導者(ピアニスト)が、時代の流れに引き裂かれ、再会と別れを繰り返しながらも、決して離れることができない、そんなラブ・ストーリーです。

いや、恋愛映画の範疇では収まりきらないほど深い、深い人間ドラマに仕上がっています。

民族音楽、ジャズ、ダンス・ミュージックに合わせ、2人の絆の強さがしなやかに、かつ躍動的に表現され、独特な閉塞感が絶妙なスパイスになっていました。

揺れ動く切なる気持ちを音楽に託す……、まさに「愛の昇華」を謳った作品ですね。

画風といい、物語の設定といい、成瀬巳喜男監督の代表作『浮雲』(1955年)とよく似ています。

絶対に影響を受けているはず~(^_-)-☆

ぼくがこの監督の才能に惚れ込んだ前作『イーダ』(2014年)以上に心が揺さぶられ、観終わったあと、しばし忘我の状態に陥りました。

これは紛れもなく傑作です~❗❗

本作の公式HP:https://coldwar-movie.jp/

-映画

執筆者:


  1. 先生のファンです より:

    東欧の政治体制と音楽に対する勉強不足のためか、男と女の物語の向こうに何があるのかわかりませんでした

    • admin より:

      揺れ動く男女の心模様の向こうに、冷戦という大河のうねりがしっかり描かれていたと思います。

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

「あの夏」に決着をつける~日本映画『アゲイン 28年目の甲子園』

「あの夏」に決着をつける~日本映画『アゲイン 28年目の甲子園』

甲子園。   高校球児にとっては、まさに晴れ舞台。   そこに数々のドラマが生まれます。   この映画で描かれた物語が実際にあってもおかしくないと思いました。 &nbsp …

映画『ボックス!』~ボクシングに打ち込む大阪の高校生を熱写~!

映画『ボックス!』~ボクシングに打ち込む大阪の高校生を熱写~!

      (C)2010 BOX! Production Committee ボクシングに打ち込む高校生の青春映画。 舞台は大阪の下町。 それだけで熱く感じてしまうが、市原隼人を主演に起用したことで …

老宰相の苦悩をあぶり出す~英国映画『チャーチル ノルマンディーの決断』(25日公開)

老宰相の苦悩をあぶり出す~英国映画『チャーチル ノルマンディーの決断』(25日公開)

第2次大戦時に英国を率いたチャーチルの映画を今年、2本も観られるとは思わなかった。 本作は連合国を勝利に導いたノルマンディー上陸作戦をめぐり、苦悶する老首相の姿を赤裸々に浮き彫りにする。 © SALO …

美術と映画が溶け合い、死の真相を探る~『ゴッホ 最期の手紙』

美術と映画が溶け合い、死の真相を探る~『ゴッホ 最期の手紙』

「炎の人」で知られるオランダ人画家、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890年)。 名画に生の息吹を注ぎ、滋味深いドラマに仕上げた。 アニメを超越した画期的な作品だ。 ©Loving Vinc …

あゝ、『恋人たち』……

あゝ、『恋人たち』……

日本映画『恋人たち』への想いを書きます。   ☆     ☆    ☆     ☆     ☆ もどかしい……。   喉が痛くなるような生き方をしている人物がこの映画で描かれていま …

プロフィール

プロフィール
武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。