武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

映画

骨太な報道メディアの社会派映画『新聞記者』(28日から公開)

投稿日:

日本では、どういうわけか、政治を扱った報道メディアの社会派映画がほとんど作られていません。

アメリカでは、『大統領の陰謀』をはじめ、『ニュースの真相』、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』などいろいろ製作されているというのに……。

そんな中、非常に骨太な映画が28日から公開されます。

その名もズバリ、『新聞記者』(藤井道人監督)。

東京新聞社会部記者、望月衣塑子さんの同名新書を原案にしたオリジナル・ストーリーです。

大学新設計画に関する極秘情報をめぐり、日本人と韓国人の両親を持つ女性記者(シム・ウンギョン)が、元上司の自殺を機に内閣情報調査室の業務に疑問を持ったエリート官僚(松坂桃李)の協力を仰ぎ、真相究明に向けて取材に奔走……。

森友・加計問題やその他諸々の事案を匂わすシーンが随所に散りばめられており、フィクションとはいえ、リアリティー満点。

権力の「闇」を浮かび上がらせ、濃密なサスペンス映画に仕上がっています。

昨今、メディアの有り様が問われていますが、やはり「権力の監視」というジャーナリズムの根幹は永遠に不滅だと改めて実際した次第です~❗

本作の公開記念として今夜、西梅田の毎日オーバルホールで開催されたシンポジウム「官邸権力と報道メディアの現在」を聴きに行きました。

望月さんと元文部科学省事務次官の前川喜平さんが、マスメディアと官邸の裏話を披露したあと、今のメディアは政権に支配されつつあると危機感を募らせてはりました。

そして「この映画が今の政治の現状を如実に反映している。政治にあまり関心を持っていない若い人たちに観てもらいたい」と~❗

それにしても、お2人とも喋りが上手い。

下手な漫才師よりも笑いを取ってはりました~🙆(笑)

最後に、よくぞこんな映画を作ってくれはりました!!

映画のURL : https://shimbunkisha.jp/

-映画

執筆者:


  1. 先生のファンです より:

    たまたま、その日にオーバルホールの前を通ったので聴講をお願いしましたが、けんもほろろに断られました。冷たいよM新聞。記者でらした先生からご覧になって、記者の迫り方は、それらしかったのでしょうか。面白い作品でした

    • admin より:

      あの講演会、断れましたか……。残念でしたね。
      『新聞記者』、映画としてはよく出来ていたと思いますが、自分たちの記事の信憑性を担保にするため、ネタ元を危険に陥れたクダリはいただけませんでした。

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

今朝、ABCラジオ「おはようパーソナリティ」にゲスト出演しました~(^_-)-☆

今朝、ABCラジオ「おはようパーソナリティ」にゲスト出演しました~(^_-)-☆

朝、散歩がてらに自宅から歩いてABC朝日放送へ。 そして午前8時ごろから、朝のワイド番組「おはようパーソナリティ」にゲスト出演してきました。   エンタメ映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に特化し …

娘の脳死、両親の決断……『人魚の眠る家』

娘の脳死、両親の決断……『人魚の眠る家』

Ⓒ2018「人魚の眠る家」製作委員会 臓器移植が絡み、揺れ動く親の心情。 そこに科学技術が介在してくる。 生命倫理と愛情の狭間で生じる極めてシリアスな問題をミステリー・タッチで描き上げた。 原作は作家 …

今年最初の映画紹介~アキ・アウリスマキ監督の新作『希望のかなた』

今年最初の映画紹介~アキ・アウリスマキ監督の新作『希望のかなた』

庶民の哀歓を情感込めて描いてきたアキ・カウリスマキ監督。 このフィンランドの名匠が難民問題で揺れ動く欧州の現状にメスを入れた。 といっても社会派映画ではない。 希望の光を当てる珠玉の人間ドラマだ。 © …

『牛の鈴音』、丑年の2009年を締めくくるにふさわしい映画~

『牛の鈴音』、丑年の2009年を締めくくるにふさわしい映画~

あっと言う間にクリスマスが過ぎ、今年もあと4日でおしまいですね。 あわただしい年の瀬に、こんな映画はいかがですか。ほんとうに心が和みますよ。そのシネマ・エッセーです。 *      *      *  …

映画の地を歩く(8)イタリア・ベネチア~『旅情』

映画の地を歩く(8)イタリア・ベネチア~『旅情』

「中国人の観光客だらけ!」 先日、イタリアのベネチアへ旅してきた知人が苦笑いしていました。 ぼくも4年前に訪れたとき、200人ほどの中国人観光客が、先頭で旗を振る添乗員に引率され、列をなしてベネチアの …

プロフィール

プロフィール
武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。