大阪人が2人寄れば、お笑いが生まれる。
まさにそれを地でいく映画。
高校2年生の男子生徒2人が座ったまま平坦な無駄話を続ける様子をありのままに映し出す。
脱力系の面白さが際立ち、ひと味違った青春グラフィティに仕上がった。
原作は大阪の漫画家、此元和津也の同名短編集。
映画も漫画と同じ場所の堺旧市街にある環濠(内川)の川辺で撮影が行われた。
おちゃらけた元サッカー部員の瀬戸小吉(菅田将暉)とシニカルで秀才肌の内海想(池松壮亮)。
2人合わせてセトウツミ。
放課後の1時間半、帰宅部の彼らが川辺の階段に腰を下ろし、水面を眺めながら喋り合う。
「神妙な面持ちとはどんな顔?」
「女心をつかむための『アメとムチ』とは?」
たわいもないやり取りが6話構成で綴られる。
ごく自然に会話が始まるまったりした空気感が非常に心地よい。
時折、過去に戻る。
その都度、2人の家庭環境、距離感などが示唆される。
瀬戸が惚れる女子高生(中条あやみ)が内海に心を寄せている三角関係、共に睨まれている怖い上級生(成田瑛基)の存在が笑いを誘う。
瀬戸がボケ、内海がツッコミ。
自然とそんなふうになり、会話が想定外の展開にどんどん膨らんでいく。
アドリブに思えるが、「漫才にしないで、ガチで芝居をしてほしい」という大森立嗣監督の演出が作品の軸を支える。
さり気ない仕草も効いている。
絶妙の間合いと柔らかな言葉遣いが本作のエッセンス。
100%大阪の映画なので、いかにきちんと大阪弁を喋れるか、そこが最大の要となる。
大阪人の菅田と中条は当然、完璧だが、福岡出身の池松も何とかクリアしていた。
熱い友情ではないが、根っこでしっかり結びついているセトウツミ。
もっと2人のことを知りたい。
続編を期待せずにはいられない。
1時間15分
★★★★(見逃せない)
Ⓒ2016映画「セトウツミ」製作委員会
(日本経済新聞夕刊に2016年7月1日に掲載。許可のない転載は禁じます)


