ぼくの一番好きなフランス映画、それは『冒険者たち』(1969年)です。
飛行機乗りのマヌー(アラン・ドロン)、自動車整備工のローラン(リノ・バンチュラ)、前衛造形芸術家のレティシア(ジョアンナ・シムカス)。
それぞれ自分の夢を断たれ、絶望的になっていた3人がアフリカのコンゴ沖に沈んでいる財宝を取りに行く。
そこにギャングが絡み、さらにレティシアに対するマヌーとローランの恋情が重なる。
夢とロマン。
ジョゼ・ジョバンニの小説を名匠ロベール・アンリコ監督が実に素晴らしい映画に仕上げました。
その最後の舞台が、海に浮かぶ要塞でした。
コンゴで死去したレティシアの生まれ故郷から見える人工島で、そこでマヌーがギャングに殺される……。
ボイヤール要塞。
それをこの目でしかと見たくて、アングレームから大西洋岸の港町ラ・ロシェル(LaRochelle)にやって来ました。
ラ・ロシェルは非常に瀟洒な町です。
観光地ですが、ほとんどがフランス人です。
海外からの観光客はそれほどいません。
旧港から遊覧船に乗りました。
おそらく、『冒険者たち』目当てにしている人はぼくだけかもしれません。
1時間ほど揺られ、ようやく要塞の近くに達しました。
おーっ!
思わず声を上げてしまいました。
1804~57年にかけて建造された軍事要塞です。
映画撮影時は、ここに「上陸」できましたが、老朽化が著しいとの理由で、それがあたわず、船から眺めだけ。
裏手に回ると、補修工事が行われていました。
それでも、ぼくは十分、満足、満足。
アラン・ドロンが語りかけるように歌った『レティシア』のテーマ曲が脳裏をめぐり、ひとり悦に入っていました。
ほんま、来てよかった。
何でも現場を踏まなあきまへんなぁ~(^_-)-☆