花の都、パリ。
ぼくは正直、夏の観光シーズンのパリは好きではありません。
ぼくも観光客なのですが(笑)、その中に紛れ込んでしまうのが大嫌いなんです。
へそ曲がりです~(^_-)-☆
だからルーブル博物館、エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼといった名所には足を運ぶ気になれず、穴場的なところに行くつもりでした。
それがギュスターブ・モロー美術館。
パリジャンのモロー(1826~98年)は象徴主義を代表する画家です。
画風は全く違いますが、アンリ・マティスやジョルジュ・ルオーの先生です。
古代ギリシア神話を題材にした幻想的な作品の数々。
ユニコーン(一角獣)が寄り添い、ヘラクレスが苦悶し、アポロンが雄たけびを上げる。
大学時代、この美術館で初めてモローの世界に接し、心底、惚れ込んでしまいました。
だから、38年ぶりの再訪です。
昔は古色蒼然とした幽霊屋敷のような印象を受けたのですが、リニューアルされたのか、妙にきれいになっていました。
パリの他の美術館とは違って入場者が少なく、落ち着いて鑑賞することができました。
館内撮影のOK。
ありがたいです。
このあとメトロでパリ南東部の開発地区ベルシーへ。
シネマテーク・フランセーズ(映画博物館)を見学するためです。
かつてはエッフェル塔の近く、シャイヨー宮にありました。
そこで若かりしころのフランソワ・トリュフォー、ジャン・リュック=ゴダール、クロード・シャブロルらが日々、映画を観まくり、やがて「ヌーヴェル・ヴァーグ」として映画革新運動を起こしました。
フランス映画、いや世界の映画の「聖地」とも呼べるところです。
学生時代、パリに滞在中、ぼくは毎日、そこに入り浸っていました。
それが1997年に火災に遭って閉館。
2005年、ベルシー地区で甦りました。
展示内容が充実していると聞いていたので、必見スポットです。
ルンルン気分でシネマテークに来ると、あろうことか休館中。
ガーーン!!
9月2日まで夏休みとか。
そんあ、アホなことあるかい!
この時期、パリに来る観光客が一番多いのに。
案の定、次から次へと映画ファンが来て、みな失望していました。
腹が立ち、気分直しに近くのカフェでモヒートをオーダーしたら、信じられないくらいマズかった~((+_+))
10ユーロ(約1400円)もしたのに!!
これをもって旅の終わりにしてはアカン。
そう思って、北西部のサン・マルタン運河に向かいました。
この辺り、観光客が少なく、落ち着いたたたずまい。
市民の憩いの場になっています。
運河沿いにアイリッシュ・パブを見つけたので、ギネスで飲み直し(ハーフ・パイントですが)。
そして、念願の建物を発見しました。
HOTEL DU NORD(北ホテル)。
戦前、活躍したフランス映画界の巨匠マルセル・カルネ監督(1906~96年)の代表作『北ホテル』(1938年)の舞台になったところです。
滋味あふれる群像ドラマでした。
撮影はほとんどスタジオで行われましたが、それでも名作の地であるのは間違いありません。
今はホテルではありません。
カフェとレストランになっています。
でも、ぼくにとっては「北ホテル」なのです。
旅の最後に満足できるところに来られ、ほんま、よかったです。
ケルト、映画、お酒、歴史……。
ぼくの好きな世界をとことん追求した旅でした。
ワイン、ビール、それにパスティスをよく飲みました。
収穫大の旅。
これをもって、レポート終了です。