武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

フランス南西部紀行(2014年夏)

(2)フランス南西部紀行~ニーム

投稿日:2014年8月22日 更新日:

ジーンズのデニム生地が誕生したところ。

 

それがニーム(Nimes)。

 

de Nimes(デニーム=ニームの)から由来したそうです。

 

 

マルセイユから電車で約1時間。

 

西方に位置します。

 

この街は何から何まですべてローマ一色です。

 

なにしろフランス最古のローマ都市なのだから当然。

 

古代闘技場、四角い神殿「メゾン・カレ」、清らかな水場「フォンテーヌ公園」、監視塔「マーニュ塔」……。

 

 

郊外には世界遺産のポン・デュ・ガールがあります。

 

ガール川に架かる古代ローマの巨大な水道橋。

 

高さ48メートル。

 

水源のユゼスからニームまで水を引いていました。

 

高低差が13メートルしかないのに、10数キロも水を流していたというのだから恐れ入ります。

 

つくづく実感します、古代ローマの偉大さが。

 

今日でも通用する技術を2000年前に有していたのですから。

 

ニームも、他のガリア(フランスとベルギーの一部)の地と同様、ローマ人が来るまでケルト系のガリア人の居住地でした。

 

Volques-Arecomiquesという部族がニームに定住し、フォンテーヌ公園の泉を「聖なる地」として崇めていました。

 

紀元前1世紀、彼らを支配したローマ人も同じように泉を神聖視し、ニームの街が発展していったそうです。

 

ローマ人は、映画のなかでは「悪者」扱いが多いけれど、実際は異民族の信仰、慣習、風俗などに対しては非常に寛容でした。

 

確かに、グローバリズムの走りともいえるローマ化を推し進めたとはいえ、独裁的に圧政を敷かなかったのが帝国の存続につながったような気がします。

 

それがガロ=ローマと呼ばれる時期です。

 

「ガロ」はケルト系ガリア人のことで、文字通り、ケルト文化とローマ文化が融合した時代。

 

ローマに占領される前、ガリアは5つの地域に区分けされていました。

 

最も広い中央部が「ガリア・ケルティカ(Gallia Celtica)」、南部が「ガリア・トランサルピナ(Gallia Transalpina)」、南西部が「ガリア・アクイタニア(Gallia Aquitania)」、南東部が「ガリア・キサルピナ(Gallia Cisalpina)」、そして北東部が「ガリア・ベリギカ(Gallia Belgica)」。

 

そこに約80の部族がテリトリーを守って定住していました。

 

こう見ると、フランス全土にケルト系の住人が暮らしていたことがわかります。

 

彼らはガリア語というケルト語を話していました。

 

共通語です。

 

辺境地は別の民族との混血が見られたと思われます。

 

首都パリの辺りに住んでいたのがパリシィ族。

 

だからパリの名が生まれました。

 

「ケルト」を知ろうと思えば、アイルランドやスコットランドよりも、むしろフランスに目を向けねばならないことがわかっていただけるでしょう。

 

これまでぼくは今なおケルト語の一種ブルトン語が話されている北西部ブルターニュ、ガリア人がローマと激戦を交わしたブルゴーニュ、ガリア人の遺産を保管しているパリ郊外のサン・ジェルマン・アン・レーの国立考古学博物館などを見て回ってきました。

 

今回の旅は、フランスで取りこぼしているところを押さえたいというのが狙いです。

 

それが翌日、実現しました~!!

-フランス南西部紀行(2014年夏)

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。