ロワール川を上流に向かっていくと、オルレアンの町があります。
そこは、言わずと知れた「ジャンヌ・ダルクの町」として知られています。
1429年、英仏間の百年戦争の最中、イングランド軍に包囲されていたオルレアンを解放し、それに乗じてイングランド勢力をフランスから駆逐しようとした17歳の乙女です。
イングランド支配下のルーアンで捕えられたジャンヌは宗教裁判にかけられ、火あぶりの刑に処せられました。
このフランス最大のヒロインは今や聖人に叙せられています。
そのゆかりの町オルレアンへ、ラ・ロシェルから鉄道を2回乗り継いでやって来ました。
天気が悪いです。
今回の旅では初めて。
あの地中海の陽光が懐かしい……。
ジャンヌの騎馬像が町のシンボルです。
彼女がしばらく滞在した家が「ジャンヌ・ダルクの家」という博物館になっていました。
威風堂々と建つサント・クロワ大聖堂も絵になります。
ちょっと話がそれますが、今回の旅で気になったのが、イギリスの国旗「ユニオン・ジャック」をあしらったカバン、バッグ、財布、Tシャツなどを持つ(着る)フランス人をよく見かけたことです。
ジャンヌ・ダルクのころからライバル同士、いや敵対関係にあったのに、それがファッションのデザインとして採り入れられている。
そのことを、旅の最初に出会ったリュネルの観光案内所のスタッフ、ローラさんにFacebookで聞いたら、「何でなんでしょうね?」と。
理由はともあれ、面白い現象だと思います。
オルレアンの考古学博物館には、思った通り、「ケルト」の遺産が展示されていました。
イノシシ、ブタ、シカ……。
古代ケルト人(ガリア人)がエネルギーと繁殖の象徴として崇めた動物たちの像の数々。
ハンガリーやチェコでも同じようなものを見ました。
これでもって、「ケルト」関連の取材は終了です。
思いのほか、「ケルト」と対峙することができ、安堵しました。
夜半、大雨になり、雨宿りのために駆け込んだレストランが、何とカンボジア料理店でした。
フランスには、かつてのインドシナ植民地ベトナム、カンボジア、ラオスの料理店があちことにあります。
ぼくはまだカンボジア料理を食したことがなく、うれしかったです。
口にしたのが、パイナップルの「容器」に入れた酢豚風の料理でした。
具は豚肉ならぬ、カモ肉でしたが、ロワールのさっぱりした白ワインによく合いました。
さぁ、明日はパリ。
そろそろ旅も終わりやなぁ……。
ふと、寂しくなりました。