武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

映画

洒脱なフランス映画~『ゲンズブールと女たち』

投稿日:2011年5月19日 更新日:

ゲンズブール
©2010 ONE WORLD FILMS-STUDIO37-UNIVERSAL PICTURES INTERNATIONAL FRANCE – FRANCE 2 CINEMA – LILOU FILMS – XILAM FILMS
どうですか、エロチックな光景でしょう。
フランス映画『ゲンズブールと女たち』のワンシーンです。
主人公はセルジュ・ゲンズブール。
この人のこと、ご存知ですか?
60年代、70年代のフランス社会を駆け抜けた異色アーティストです。
作詞家、作曲家、歌手、映画監督、俳優、画家、写真家。
いろんな顔を持つマルチ人間でした。
そして稀代の色男!!
シャンソン歌手のジュリエット・グレコ、女優のブリジッド・バルドーやジェーン・バーキンらと浮名を流した女垂らしです(すみません!)。
個性的なフランス人女優シャルロット・ゲンズブールは、バーキンとの間に生まれた実娘。
酒とタバコと女をこよなく愛した彼は1991年、62歳で他界しました。
日本ではあまり知られていませんが、この映画を観れば、すべてわかります。
この人、ユダヤ人であることに大きなコンプレックスを抱いていたようですね。
ユダヤ系を誇張したのか、とんがった鼻が特徴的な彼の分身が登場したりして、なかなか遊び心で満たされています。
ゲンズブールは決してイケメンではありません。
私生活はだらしないです。
でも裸足で靴をはいたりして、仕草のひとつひとつがどこかダンディーで、またシュールでもあり……。
だからあまたの女性の心を虜にできたのでしょうか。
羨ましい限りです。
全編、フランスらしい洒脱な空気に包まれています。
これ、日本では出せませんねぇ。
主演のエリック・エルモスニーノがこれまた洒脱な演技を披露しています。
けったいなフランス男の一代記。
女性にモテたいと思っている男性諸君には参考になるかも。
★★★
☆関西では、5月21日から大阪・梅田ガーデンシネマで公開

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プロフィール

プロフィール
武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。