武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

映画

映画館で映画を観る……、当たり前やん!

投稿日:2009年2月17日 更新日:

本「シネマ~」映画配給会社のちいさな試写室で封切り前の映画ばかり観ているぼくが、エラそうなことは言えませんが、かつてはまぎれもなく「映画館主義者」でした。
「かつて」とは、新聞社で映画記者になる以前のことです。つまり1992年より前は、映画のほとんどを映画館か試写会場のホールで観ていました。「ほとんど」というのは、テレビでオンエアされた名作をビデオ(当時はVHSばかり)で録画して観ていたことがごくたまにあったからです。
それこそ学生時代は、熱病のように毎日、映画館通いがつづき、年間、550本ほど観ていました。ほんま、大学へ行っているヒマなんてなかったです。映画を観ない日なんてあったかな~。泳ぎつづけやな生きられへんマグロの気持ちが、そのときよぉ~わかりましたわ。
大阪で観られない、あるいは観たことのない作品があれば、姫路でも和歌山でも関西ならどこへでもはせ参じ、ときには東京へ「観溜め」しに行ったことも~。映画館の入場料より交通費のほうが高くついたこともザラです。「ほかにやることないんか~」と言われるほど映画館に浸っていたあのころが懐かしいなぁ~。
昔はよかった~と思い出話を披露しているのではありません。「映画は映画館で観るのが当たり前やん~!」ということを言いたいんです。
昨今、DVDなどの二次使用による利益を当て込んで映画が製作されているのが現状です。でも、造り手はきっと映画館の大きなスクリーンに自分たちの作品が上映されることを念頭に置いてカメラをまわしていると思いますよ。ぼくはそう信じています。
うちでソファに寝転がって、ポテトチップスをほお張りながら、大画面のテレビでDVDの映画を鑑賞するのもいいですが、なんか安易というか、受け身的な感じがして、ぼくは好きになれません。
観ている最中に電話が鳴ったり、宅配便が届いたりして、中断を余儀なくされることもしばしば。もちろん、場面をチェックする向きには便利だと思いますが……。
貴重なお金(入場料+交通費)と時間を使ってわざわざ映画館へ出向き、そこで映画と向き合う。そのほうが絶対に感動やインパクトが大きいと思います。それは能動的な観方です。人生もそうでなきゃアキマヘン!
コンサート、落語、演劇を観に行ったり、美術館に足を運んだりするのと同じこと。そこに行ってナンボのもん。テレビやDVDではほんまの良さが伝わらへん。映画にもそういう「ライブ感」が必要です。時代がどんなに変わろうが、映画はそうあってしかるべきものだと思っています。
ぼくが選んだ昨年の洋画ナンバーワン、ローリング・ストーンズのドキュメンタリー映画『シャイン・ア・ライト』をミナミの映画館で再見し、試写室では体験できなかった臨場感、音量、映像のパワーに圧倒され、得も言われぬほどの満足感を抱きました。
ぼくの真後ろに坐ったおじさんが「サティスファクション」を歌っているのを耳にし、ぼくも一緒に合唱しました。隣の若者はギターを弾く格好をしながら、食い入るようにして映像を見入っていました。ミュージシャンだったのか~?
あゝ、おなじ映画を共有しているんや~。そんな連帯感も芽生えたりして、最高でした!
長々と書き綴ってきましたが、今日、こんなブログを書いたのは、『CINEMA、CINEMA,CINEMA 映画館に行こう! 関西映画館情報』(定価=本体1300円+税、創風社出版)という新刊を読んだからです。
試写で見逃した作品、いや試写で観た作品でも、気に入ったモノは時間の許す限り、もう一度、映画館で観なあかんとつくづく思いました。

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。