ズバリ、洋画のなかで一番の名ゼリフだとぼくが思っているのがこれ。
「君の瞳に乾杯~!」
クラシック映画の名作『カサブランカ』(1942年)のなかで、シャンパン・グラスを手にしたハンフリー・ボガートがイングリッド・バーグマンにささやいた言葉です。ちなみに、シャンパンはノド越しの良いコルドン・ヴェール・ドミ・セック。
第2次大戦中、ナチス・ドイツの脅威から逃れようとヨーロッパ中から集まってきた難民でごった返すフランス領モロッコのカサブランカ。運命のいたずらか、逢うべきではない、かつて愛し合ったふたりがそこで邂逅する……。不朽の恋愛映画と思われていますが、じつは反ナチスの映画でもあるんです。
で、例のセリフですが~。
「Here’slooking at you,kid !」
これが英語のセリフ。直訳すれば、「君を見ることに乾杯~!」といったところでしょうか。どこにも「瞳」の文字が見当たりません。でも、バーグマンの潤んだ瞳を見て、字幕翻訳者(故・高瀬鎮夫さん)が「君の瞳に乾杯~!」と訳したんです。
すごいなぁ~と思う。映画の字幕翻訳は、英語力よりもむしろ感性と日本語力がモノを言うんですね。
ほろ酔い気分になった女性が、このフレーズを男性から言われたら、どうなるんでしょう? もちろん男にもよると思いますが、多分、グラッとくるんとちゃいますかね。
でも、「君の瞳に乾杯~!」なんて言える男はまずいません(と思います)。言えるとしたら、よほどカッコをつけている男か、あるいは詐欺師にちがいありません。映画のなかでこそ映える言葉ですよ。
蛇足ですが、日本映画の最高の名ゼリフは、『夫婦善哉』(1955年)のなかで、森繁久弥さんが淡島千景さんに何度も発していた言葉。これがぼくにはたまりません。
「おばはん、頼りにしてまっせ~!」
君の瞳に乾杯~♪
投稿日:2009年1月26日 更新日:
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