試写室で時折り、お目にかかる小山帥人(おさひと)さんのご著書『我が家に来た脱走兵~一九六八年のある日から~』(東方出版)を読み終えて……。
半世紀前、ベトナム戦争の戦場から脱走した19歳の米兵キャルを、小山さんが4日間、自宅で匿ってはったんです。
当時、小山さんはNHK大阪放送局勤務。
その米兵との縁(えにし)をベトナム戦争や社会情勢を盛り込みながら回想し、47年ぶりの再会を詳しく記してはります。
MBS(毎日放送)のドキュメンタリー番組でアメリカでの再会を観た覚えがあります。
ご本人にとって強烈な出来事を何としても活字に記録しておきたいという「執念」が行間からにじみ出てきました。
ページを繰った瞬間、ベトナム反戦運動で揺れ動いていたあの時代(ぼくは中学2年生でした)にタイムスリップ。
クールな筆致ながら、熱い読み物でした。