武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

南インド・タミルナードゥ州紀行(2018年5月)

(7)南インド・タミルナードゥ州への旅~7日目(5月25日)

投稿日:2018年6月2日 更新日:

旅の7日目にして、ついに「目的」を成し遂げました~❗❗

インド屈指のヒンドゥー寺院、アルナーチャレーシュワラム寺院を擁する町ティルヴァンナマライの西にそびえるアルナーチャラ山(標高約800メートル)。

その山は最高神シヴァ・リンガそのものと言われる「聖なる山」です。

ぼくはヒンドゥー教徒ではありませんが(当たり前や)、その山の頂に登って、「イェーツ~❗」と叫ぶのを旅の最大の目的にしていました~(笑)

3年前、インド亜大陸最南端、海に面したカニャークマリ(コモリン岬)で「イェーツ~❗」と絶叫してきたので、今回は〈山バージョン〉です。

何で「イェーツ~❗」と雄叫びを上げるのかは自分でもよぉわかりません~(笑)

まぁ、ノープロブレム~😁

で、暑くならないうちにと思い、午前7時10分に寺院西門の麓から山を目指しました。

旅立つ前、「聖なる山」なので、裸足で登らねばならないと覚悟を決めていました。

ところが今朝、ホテルのフロントマンにそのことを言うと、「酷暑期に止めときなはれ。誰も登ってませんよ」。

酷暑期を「ウルトラ・ホット・シーズン」と英語で言うてはりました。

インド人は「超」を「スーパー」よりも「ウルトラ」という表現を好むみたい。

午前10時を過ぎると、37度くらいになります。

さらに言葉を紡ぎ……。

「どうしても登りたいのなら、しっかり靴を履いて登りなはれ」

裸足は~?

「そんな無茶な~❗ 裸足はサードゥー(修行僧)しかやりませんよ」

そか、この言葉をしかと受け止め、旅の行き帰り用のウォーキング・シューズを履いてチャレンジしました。

山に入りしばらくして下を見ると、アルナーチャレーシュワラ寺院がくっきり視界に収まりました。

ワンダフル!!

そのあとサードゥーと出会いました。

この山にはこうした修行僧がぎょうさんいてはります。

これから山頂をめざすと言うと、「ちょっと、こっちに来なはれ」。

連れて行かれたところが洞窟でした。

ひんやりとして、すごくええ塩梅です~😃

「裸足になって、そこに座ってください」

そのサードゥーはシヴァ・リンガにお祈りし、ぼくに花束をかけてくれました。

「瞑想をしてください」

いきなり言われても……。

とりあえず、目を瞑ると、あまりの気持ち良さに即、睡魔に襲わました~💤

こんな感じで瞑想(爆睡?)していました

どれほど時間が経ったか、サードゥーに肩を突っつかれ、ハッと目を覚ますと、「寝たらあきませんがな。瞑想をしなはれ」と。

すんません❗

どうやらイビキをかいていたみたい(笑)

えらい笑うてはりました ~😉

30分ほどすると、サードゥーはこう言いました。

「あなたのカルマ(因果応報)はシヴァ神がすべて吹き飛ばしました。心置きなく、頂上を目指してください」

わずか30分間でカルマが吹き飛ぶんかいな?

寡黙なサードゥーを何とか喋らせ、年齢が65歳で、長年、ビジネスマンをやっていたことがわかりました。

名前はシャンカル。

何らかの事情があって、修行僧になりはったんやろな~。

その理由はあえて訊きませんでした。

「これがシヴァのパワーそのものです❗」

そう言って手に握らされたのが黒い三角形の小石。

まさにパワーストーン!!

「これから、これをギュッと握って瞑想してください」

あんまり瞑想することないんやけど、「わかりました」と答えました(笑)

先日はヴィシュヌ神に帰依したのに、今日はシヴァ神……、節操ありまへんなぁ。

さぁ、今から登山~🗻

山に登る理由を言うと、シャンカルさんは得も言われぬ顔をして頭を何度も横に振り回してはりました。

多分、わからへんやろな~😅

山に登る前、シャンカルさんが注意事項をいろいろ教えてくれはりました。

・葉っぱを食べると死んでしまう「カーリー」という木があるので、絶対に葉を口にしないように。

・途中、猿と遭遇するかもしれないが、無視すべし。

・ヘビがいるけど、噛まれても死なへん。

・山頂のサードゥーによろしゅうお伝えください。

以上、こんな感じでした~😁

最後にこう締めくくりはりました。

「すべてシヴァ神が守ってくれます❗」

登山は想定外に厳しかったです。

登山道はちゃんと整備したものではなく、真っ直ぐな、それもかなり傾斜のきつい岩をよじ登っていくような感じ。

岩登りをやってはる人なら楽勝でしょうが、ぼくは全くの素人。

幸いランニングをやっているので、脚の筋力、肺活量がそこそこあり、何とかよじ登っていけましたが……。

途中、修行僧以外に誰も会いません。

孤独の極地~😓

それに猛烈に暑い~😱☀

すでに40度に達しているかもしれない~😣

ヘビには遭遇しなかったけど、大きなトカゲやら、耳の大きなネズミやらと出くわしました~😅

で、休みもって、休みもって、2時間半かけて何とか頂上にたどり着つきました。

やれやれ~((+_+))

ここで修行を積んでいるサードゥーは昼飯時とあって、庵の中に入ってはりまして、「よろしゅうに~」を伝えることができなかった~😅

頂上は一面、真っ黒。

毎年11~12月の大祭の時、大勢の人が登ってきて炎をつけるためのギー(バターオイル)の残りカスなんです。

裸足になると、火傷しそうなほどに熱い~😱☀😱

シヴァ神は燃えてはりますな~🔥

下界がよく見えます。

そんな中で思いっきり叫びました。

「イェーツ~❗❗」

ぼく以外に誰もいない。

ほんまに気分よかった~❗❗

But, とにかく足の裏が熱くて、熱くて5分ほどしか山頂にいてられません。

下山もかなり往生しました~😓

半月板を傷めている左脚の膝が急に悲鳴を上げて、まさに「えらいこっちゃ~❗」。

しかもペットボトルの水を飲む以外に首筋に垂らして熱中症を防いでいたんですが、ついにそれも尽き……😵

思わず、先ほど修行僧のシャンカルさんからもらった「シヴァ神の小石」をギュッと握りしめたら、目の前に下界の世界が広がっていました~❗❗

熱中症になるかと危惧していたので、ほんまにホッとしましたわ~😁。

シヴァ神さまさま~⤴⤴

何とか下山できましたが、完全にヘトヘト状態。

街中で、すぐにリキシャを拾ってバーへ直行~💨💨💨

冷房の効いた店内に入るや、インドの国産ビールKing Fisherのボトルをあっという間に2本飲み干しました~🍻

これまで飲んだビールで一番、体に染み渡りましたわ❗❗

そんな訳で、欠けがえのない体験ができ、めちゃめちゃええ日になりました~✨💡

-南インド・タミルナードゥ州紀行(2018年5月),

執筆者:


  1. 百々之助 より:

    武部先生
    インド道中膝栗毛、食あたりもなくご無事で何よりです。
    アルナーチャラは、ラマナ・マハルシさんの信望者(日本人も)がたくさんいらっしゃると思ったのですが、
    山頂は貸切状態だったのですね。
    さすが先生! チョカ神様がついてらっしゃる、笑。
    ブログを拝見しておりますとなんだか懐かしい感じがしました。
    ありがとうございます。

    • admin より:

      百々之助様
      南インドの放浪、楽しかったです。生き返りました(笑)。
      アルナーチャラ山へ登りはったんですか?
      ウルトラ・ホット・シーズン(酷暑期)にガイドなしに単独で登ったのはクレージーでした(笑)
      ええ思い出になりました~(^_-)-☆

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。