武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

スコットランド一人旅(2024.5.26~6.6) 日記

スコットランド一人旅(10)

投稿日:2024年6月9日 更新日:

実質的に旅の最終日(4日)。

ピトロホリー(Pitlochry)からバスで大都会グラスゴー(Glasgow)へ。

14年ぶりのグラスゴーは、街が見違えるほど美しくなり、活気に溢れていました。

1978年というから46年前ですかね、大学4年の1人卒業旅行で初めてこの街へ来たとき、荒んだ街並みを目にし、足がすくんだのを覚えています。

中央駅の周辺では浮浪者がたむろしていて……。

隔世の感です。

それにシングル・モルト専門のパブ「ポット・スポット」(The Pot Still)が健在だったのがうれしかった!

昼前というのに、多くの客が美酒に酔いしれてはりました(笑)

  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

昼下がり、巨大なブキャナン・バスステーションからバスに揺られ、北東約13キロ離れたカーキンティロッホ(Kirkintilloch)という町へ向かいました。

そこは、ジェシー・ロバータ・カウン(Jessie Roberta Cowan、1920〜61年)という女性の生誕地。

ニッカウヰスキーの創業者で、「日本のウイスキーの父」と呼ばれる竹鶴政孝(1894~1979年)の愛妻です。

通称、リタ(Rita)。

NHK連続テレビ小説『マッサン』で、シャーロット・ケイト・フォックスが扮したあの可憐な、それでいてたくましい女性です。

町に貢献した人たちを顕彰する展示会場になっているタウンホールの2階へ足を向けると、リタに関係する品々が展示されていました。

「BIG IN JAPAN The muse of Japanese WHISKY」(日本の大物 ジャパニーズ・ウイスキーの女神)

こんなタイトルが付けられていました。

竹鶴17年、ニッカウヰスキーのロゴ、関連書籍……。

中でも一番惹きつけられたのが、彼女が着ていた和服と帯。

日本人になろうと必死だったんですね。

小さな展示スペースでしたが、日本とスコットランドの「架け橋」として大きな存在感を示した女性の息吹が感じられました。

見学後、「彼女の生家を見たいんですが……」と女性職員に訊くと、

「もう跡形も残っていません。更地です」

「生家は街中にあったんですか?」

「少し離れたところです。医者の娘さんでしたね」

ぼくがあれこれと質問したせいか、彼女が冊子を手渡してくれました。

リタの足跡を説明した『竹鶴リタ物語』(ニッカウヰスキー作成)。

これ、どこかで見たことがあるぞ……。

「おおきに、ありがとうございます!」

遠慮なく戴きました。

「図書館に行けば、生家のステンドグラスが飾ってありますよ」

そう言われ、図書館に行くと、階上にありました!

地元では、リタを知らない人はいないそうですね。

翌日は日本へ帰るだけ。

最終地のグラスゴーで思いのほか収穫がありました。

まさかリタさんで旅を締めくくるとは思わなかったけど……。

-スコットランド一人旅(2024.5.26~6.6), , 日記

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。