武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

大阪 映画

銀幕を彩った大阪の女優たち

投稿日:2012年7月11日 更新日:

昨日、大御所の山田五十鈴さんが亡くなりはりました。

 この人、大阪はミナミの千年町(宗右衛門町のすぐ北側)で生まれた浪花っ子です。

 

溝口健二監督のトーキー第1作『浪華悲歌(えれじい)』(1936年)で金の世界にまみれ、堕落する悲運なヒロインが印象深かった。

 

川島雄三監督の『暖簾』(58年)では昆布屋の身代を陰から支える気丈な妻、市川崑監督の『ぼんち』(60年)では嫁をいびり倒すいけずなご寮人(りょん)さん……。

 

大阪映画には欠かせない女優さんでした。

 

何しろ存在感があり、粋(すい)な大阪弁を使ってはりましたからね。

 

ぼくが一番に推す大阪の女優は、実は浪花千栄子さんなんです。

 南河内郡生まれですが、道頓堀の仕出し弁当屋で女中奉公しながら芝居のイロハと大阪弁(河内弁ではなく!)を盗み取っただけに、なんとも味のある大阪の女性を演じてくれはりました。

 

脇役ばかりでしたが、この人が銀幕に出てくるだけで、大阪の濃度がグーンと高まりました。

 

有馬稲子さんもよかった。

 

近松門左衛門の『冥途の飛脚』を内田吐夢監督が映画化した『浪花の恋の物語』(59年)で、飛脚宿若旦那の忠兵衛(中村錦之助)と恋仲になった新町の遊女、梅川をそこはかとなく可憐に演じてはりました。

 

織田作之助原作の『夫婦善哉』(59年)。

 

ぐうたらな柳吉(森繁久弥)に尽くす蝶子は、元々、淡島千景さんではなく、有馬稲子さんだったんですよ。

 

突如、製作中止の憂き目に遭い、実現しなかった……。

 

天真爛漫な女性と言えば、京マチ子さんを思い浮かべます。

 

大阪のお笑い芸人の世界を描いた衣笠貞之助監督の『大阪の女』(58年)で見せた、お人よしでいたって情にもろいヒロインが忘れられません。

 

昭和30年代の大阪映画の顔でしたね、京マチ子さんは!!

 

絶世の美女と謳われた山本富士子さん、この人も大阪人です。

 15歳から京都で暮らしたので、出演作も京都物が多いですが……。

 

八千草薫さんは上品な大阪の女性のイメージが強いですね。

 

「100万ドルのえくぼ」の触れ込みで宝塚から映画界入りした乙羽信子さん。

 

幼少期時代に短期間だけ大阪で暮らしただけですが、五所平之助監督の『大阪の宿』(54年)で演じた、大酒呑みの芸者役は飾り気のない大阪女性そのものでした。

 

冨司純子さんは幼少期から青春時代にかけて大阪で暮らしたので、大阪の女優と言ってもいいでしょう。

 

でも、そんなイメージが湧きませんね。

 

三田佳子さんも大阪市で生まれていますが、この人も大阪色が感じられません。

 

その点、秋野暢子さんは大阪の肝っ玉母ちゃんというイメージ。

井筒和幸監督の青春グラフィティー『岸和田少年愚連隊』(96年)のおかぁはん役はめちゃハマってた~(^o^)v

 

そうそう、沢口靖子さんがいました。

堺出身のお人です。

 

これから、どんどん大阪モノに出演してほしいなぁ。

 

萬田久子さんも堺生まれでした。

 

次の2人も大阪を代表する女優です。

 

市川準監督の『大阪物語』(99年)で、実生活の夫、沢田研二さんと絶妙な夫婦漫才を披露した田中裕子さん、その映画のヒロインに扮した池脇千鶴さん。

 

 

どちらも演技派ですね。

 

これから期待できるのが堺出身の谷村美月ちゃん、寝屋川出身の中村ゆりちゃん……。

 

映画に出てくる大阪の女性、何か知らんけれど、好きです。

 

どことなく大阪の匂いを発散させているからかな~。

 

銀幕にどんな大阪の女優さんが映るのか、楽しみ、楽しみ~(^_-)-☆

-大阪, 映画

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。