お盆休みに入ったようですね。
久しぶりに映画の原稿です。
今日の日経新聞夕刊(文化面)に載っている分です。
このアメリカ映画を試写で観たのは、スコットランドへ旅立つ1週間前のことで、帰国後、必死になって場面を思い出し、映画の原稿にまとめました。
旅の間、日記はずっとつけていましたが、まともな文章を書いていなかったので、思うようにペン(キーボード?)が走らず、難儀しました。
何でも中断すると、ピタリと能力が止まってしまいますね。
では、どうぞ~♪
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ジョージ・クルーニー、ジェフ・ブリッジス、ユアン・マクレガー、ケヴィン・スペイシー。
ハリウッドのビッグ・ネームが名を連ねているのに、どこまでもB級映画っぽい。
しかも超能力を扱ったキワモノ的な内容とあって、驚かされた。
2003年、イラク戦争を取材しに行ったアメリカの地方新聞の記者ボブ(マクレガー)が、現地で不思議なオーラを放つ米国人リン(クルーニー)と出会い、行動を共にする。
そのうちエスパーで構成された米軍の極秘部隊「新地球軍」の存在を聞かされる。
何だか雲を掴むような話。
呆然とするボブと同様、ぼくも呆気にとられた。
リンは自身がナンバー2の超能力兵士で、「ジェダイ戦士だ」と自負する。
SF大作「スター・ウォーズ」で銀河系の自由と正義の守護者ジェダイの1人に扮したマクレガー相手にそう言うのだ。
笑わずにいられようか。
新地球軍の創始者が、ずば抜けたパワーを持つビル(ブリッジス)。
ヒッピー風で、愛と平和を訴える軍人らしからぬ中年男だ。
まるで教祖的みたい。
実力をつけたリンに対する同僚のラリー(スペイシー)の嫉妬心が奇天烈な顛末へと導く。
旧ソ連軍の超能力開発はよく知られているが、米軍も負けじと特殊部隊の設立に力を注いでいたらしい。
その経緯を取材した英国人ジャーナリストのルポを基にこの映画が企画された。
つまり実話だというのだ。
ヤギの睨み殺し、壁の通り抜け……。
バカバカしいと思うかもしれないが、俳優たちはみな生真面目に演じている。
とりわけクルーニーの実直な演技がたまらなくおかしい。
でも笑いが空回りしていた。
残念。
軍隊を皮肉ったブラック・コメディーとして観れば面白い。
千原ジュニアがつけた軽佻な邦題が言い得て妙。
監督はグラント・ヘスロヴ。
1間34分。★★★
☆大阪では、14日からシネ・リーブル梅田、MOVIX堺で公開
(日本経済新聞2010年8月13日夕刊『シネマ万華鏡』。ブログへの掲載を許諾済み。無断転載禁止)
信じられますか? この話……、『ヤギと男と男と壁と』
投稿日:2010年8月13日 更新日:
執筆者:admin