ホンワカとした〈大阪映画〉が誕生しました!
『凪の憂鬱』――。
凪とは、大阪出身の女優、辻凪子が扮するヒロインの名前です。
タイトルから暗い映画をイメージしそうですが、契約社員の彼女が有給休暇の日々を過ごす姿をスケッチ風に綴った作品で、観る側としては全くブルーになりません(笑)
凪は、どこにでもいそうな大阪の若い女性で、驚くほど距離感が近い!
いきなり1年間付き合っていた彼氏にフラれる冒頭シーンから始まり、あとは彼女の予期せぬ行動をカメラが興味深げに追っかけていきます。
当然、本人はずっと不機嫌ですが(笑)、シリアスさが希薄で、軽いノリでゆるゆると引っ張っていくのがこの映画の持ち味です。
正直、どうってことのない事どもばかりで、ゆめゆめドラマチックな展開にはなりません。
なのに、クスクス笑いながら最後まで見入ってしまいました。
そんな不思議な映画でした。
映画製作を絡めているのが、何となくほほ笑ましい。
中之島公園のバラ園、天満、川崎橋、毛馬の閘門、十三界隈、今はなきシネマパブ「ワイルドバンチ」……と大阪の各所でロケ撮影が行われました。
そして、兵庫県尼崎の塚口サンサン劇場も!
監督は、大阪のビジュアルアーツ専門学校出身の磯部鉄平。
主人公を捉える監督の眼差しはどこかシニカルで、それでいて優しい。
コロナ禍での製作で、その現状を強調したかったのでしょうが、やはりマスクが気になってしょうがなかった(笑)
肝心の表情が分かりづらいですからね。
6月3日~大阪・シアターセブン、9日~京都シネマ、17日~神戸・元町映画館で公開。