こんなお爺さんがおれば、オモロイなぁ~(^^♪
クスッと笑ってしまう、そんな映画です。
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超高齢化社会に突入し、元気なお年寄りがめっきり増えてきた。
本作の主人公はいささか度を超えているものの、その典型例だ。
驚くべき足跡と奇天烈な逃亡劇をリンクさせ、人生賛歌を謳い上げたスウェーデンのコメディー映画。
老人ホームで100歳の誕生日を迎えたアランが施設から脱出し、1人旅に出る。
その理由が特に示されず、この爺さんの気ままな行動に振り回される。
裏世界のヤミ金を入手するや、一気にドラマチックな展開に。
ギャングと警察に追われ、個性豊かな仲間と一緒に逃げまくる。
その顛末がロードムービーの形で描かれる。
アランは終始、無表情を貫く。
どんな事態が起きようとも全く動じない。
自然体だ。
その飄然とした様が何ともとぼけた空気を醸し出し、全編を包み込む。
同時並行で浮き彫りにされる体験談がすこぶる面白い。
ごく平凡な男なのに、爆破マニアという“特性”が自身の人生に信じられない運を引き込む。
そこがたまらなくおかしい。
自分の意思とは関係なく、20世紀の節目に楔を打ち込んだ要人と次々に親交を結んでいくのだから痛快だ。
現代史の絵巻物さながら、それらがメルヘン風に綴られる。
「人生はなるようにしかならない」
母親の言葉が楽天的な生き方の礎となった。
周りには欲望に取りつかれた野心家が多いだけに、純真さが際立つ。
そこに行動力と好奇心が加味され、刺激的な出会いが生まれる。
喜劇はとかく演技が大仰になるものだが、主演のロバート・グスタフソンをはじめどの俳優も楚々と演じている。
笑いもどこかシニカル。
それが北欧らしさなのかもしれない。
「面白きこともなき世を面白く」
この名言を思い出させる愉快なアドベンチャー映画だった。
フェリックス・ハーングレン監督。
1時間55分
★★★(見応えあり)
11/8公開 大阪ステーションシティシネマ他にて全国公開
配給:ロングライド
(日本経済新聞2014年11月7日夕刊『シネマ万華鏡』。ブログへの掲載を許諾済み。無断転載禁止)