武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

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本日公開『北朝鮮強制収容所に生まれて』&『チスル』

投稿日:2014年3月29日 更新日:

スイス・ジュネーブで開催中の国連人権理事会で、北朝鮮の人権侵害を非難する決議が採択されました。

 

北朝鮮を全体主義的とし、ナチス・ドイツや南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)に匹敵する人道犯罪だと位置づけています。

 

拉致問題、食糧飢饉、思想・言論の抑圧、強制収容所……。

 

かの国の忌まわしい過去と現状を脱北者やメディアによって随分、耳にしてきました。

 

どれも悲惨極まりないです。

 

日本の隣国でいまだに大多数の国民が、1人の独裁者に怯えながら疲弊した暮らしを送っているのです……、アンビリーバブル!!

 

人権侵害の象徴のひとつが強制収容所です。

 

今日から大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開されるドキュメンタリー映画『北朝鮮強制収容所に生まれて』は、そこでの強烈な生活が再現されています。http://www.u-picc.com/umarete/

 

1982年、政治犯強制収容所内で生まれ、2006年に脱北し、韓国に逃れた男性の証言をリアルに映像化しています。

 

両親はともに政治犯で、模範囚として「表彰結婚」させられ、その青年を授かりました。

 

生まれた時から、「将軍さまが神様」だと洗脳され、笑うことも「愛する」という意味すら知らないまま育ってきました。

 

映画の中で笑みを浮かべるシーンがありましたが、何となく白々しい。

 

まだ自然と笑うことに抵抗を感じているかもしれません。

 

この映画が何よりも凄いのは、“被害者”である男性の話だけに終わらず、他に“加害者”である2人の当事者(収容所の司令官と警備員)にもインタビューを試みているのです。

 

いわば、秘密組織のスタッフです。

 

この取材は極めて難しい。

 

よくぞ話を聴けたものだ。

 

2人は臆面もなく、収容者を虐待、処刑していたことを話していました。

 

それがたまらなく恐ろしかったです。

 

これ、意外なことにドイツ映画なんですよ。

 

ドキュメンタリストのマルク・ヴィーゼ監督が使命感を持って撮ったものです。

 

この映画は観ておく方がいいと思います。

 

あと、朝鮮半島が南北に分断統治されていた1948年に済州島で起きた「4・3事件」を描いた韓国映画『チスル』もおススメです。http://www.u-picc.com/umarete/

 

今日からシネマート心斎橋で公開です。

 

南朝鮮だけの単独選挙に反対し、一部の島民が武装蜂起したのを機に、米軍指揮下の韓国軍と警察が島民を暴徒とみなし、3万人以上を虐殺した悲劇です。

 

この時、多くの島民が日本(とりわけ大阪)に逃れてきました。

 

まさに負の歴史。

 

長らく韓国ではタブー視されていました。

 

映画では事件発生の背景に言及していないので、わかりづらいかもしれませんが、村を去り、山に潜む島民たちの哀しい息遣いがビンビン伝わってきました。

 

何でもシロクロはっきりさせるのはほんまに恐ろしいと実感!!

 

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。