武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

映画

三谷映画の真骨頂!?~『ステキな金縛り』

投稿日:2011年10月28日 更新日:

日常のモヤモヤを忘れるのにうってつけの映画が、明日から公開されます。
三谷幸喜がメガホンを取った『ステキな金縛り』。
こんな映画です。
拙文をどうぞ~。
    ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆
ステキな金縛り
2011 フジテレビ 東宝
喜劇作家、三谷幸喜の映画監督5作目。
法廷劇、ミステリー、ホラー、ファンタジーをお得意のコメディーで包み込み、何とも奇想天外な作品に仕上げた。
遊び心を存分に盛り込んだ寓話として見れば、楽しめる。
妻殺しの罪で起訴された男がアリバイを主張し、無実を訴える。
事件当時、山中の旅館で金縛りに遭っていたというのだ。
それを立証すべく、女性弁護士エミ(深津絵里)が宿に出向くと、成仏できなかった落ち武者、更科六兵衛(西田敏行)が姿を現す。
金縛りを起こした張本人だ。
戦国時代の幽霊を証人として法廷へ。
かくしてエミの奮闘が始まる。
バカバカしいストーリーだが、たたみ掛けるような展開と話の紡ぎ方、さらに間合いが絶妙で、ぼくはいつしか三谷ワールドに引き込まれた。
ダメ弁護士のエミと情に厚く、人のいい六兵衛とのやり取りがおかしい。
この幽霊が現代社会になじむにつれ、彼女が輝いてくる。
深津と西田。
“変化球”を次から次へと繰り出す2人の俳優の演技が見ものだ。
超常現象を否定する堅物のエリート検事(中井貴一)、六兵衛の研究家(浅野忠信)、風変わりなエミの上司(阿部寛)……。
三谷映画の特徴は登場人物の個性を目一杯、誇張するところ。
本作ではさらに拍車がかかったが、類型的なキャラクターになったのは否めない。
彼らが一堂に会する法廷の場面がクライマックスとなる。
そこはまさに舞台空間。
カット割りを多用するなどこだわりが見られる。
いや、捻くりすぎたか。
それでも結末に向けてドラマを徐々に昇華させていく演出はなかなか手堅い。
10年以上前からの企画とあって、あれこれと詰め込み、やや欲張った感がしないでもない。
しかし豪華キャストによるこじゃれた笑いがそれを忘れさせてくれた。
2時間22分。★★★
☆10月29日(土)全国東宝系にてロードショー
(日本経済新聞2011年10月28日夕刊『シネマ万華鏡』。ブログへの掲載を許諾済み。無断転載禁止)

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プロフィール

プロフィール
武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。