ちょかBandでライブ活動を続けているわが身、この映画はかなり心に染み入りました。
音楽力がさく裂しています!!
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©2013 KILLIFISH PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED
音楽の世界で生きる男と女。
思うようにいかず、マイナスのオーラを放つ2人の出会いが予期せぬ相乗効果を生み、ニューヨークを舞台にとびきり心地よい物語を奏でてくれた。
ストリートミュージシャンの生き様を爽やかに綴った『ONCEダブリンの街角で』(2006年)で注目されたアイルランド人ジョン・カーニー監督の新作。
恋に破れ、音楽界から遠ざかろうとする英国人の女性シンガーソングライター、グレタ(キーラ・ナイトレイ)。
過去の栄光にこだわり、時代に乗り遅れた落ち目な中年音楽プロデューサー、ダン(マーク・ラファロ)。
冒頭、白けた雰囲気のライブバーでギターを弾き語るグレタを、居合わせたダンが絶賛する。
よくあるパターンだが、鋭く、それでいて甘い彼の眼差しが運命的なものを感じさせる。
倦怠感をまき散らすラファロのしなやかな演技が素晴らしい。
ほのかに男の色気を醸し出す。
ナイトレイも失意の異邦人になり切っていた。
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ボーカルは思いのほかキュートだ。
ハイライトは街角でのレコーディング。
喧騒と雑音をもサウンドにとり込み、公園や地下鉄のホームなどでゲリラ的に演奏を繰り広げる。
実に奇抜な発想。
バンドのメンバーも個性があって申し分ない。
グレタとダンがプレイリストを聴きながら、深夜の街を歩き回るシーンがとりわけ胸に染み入った。
『ONCE~』と同様、安易に恋愛関係に発展させないところがニクイ。
グレタが音楽のパートナーでもある恋人とベクトルの違いを感じ取る。ダンを疎んじる娘がギタリストとして接近する。全てにおいて人との距離感を巧みに操る演出が効いている。
音楽力の凄さを凝縮させた屋上での演奏シーンは圧巻。
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「好きの力」が銀幕を覆い尽くし、忘れ得ぬ音楽映画になった。
1時間44分
★★★★(見逃せない)
☆2月7日(土)より、シネ・リーブル梅田/京都シネマ/シネ・リーブル神戸他、全国ロードショー!
(日本経済新聞2015年2月6日夕刊『シネマ万華鏡』。ブログへの掲載を許諾済み。無断転載禁止)