朝、中之島の遊歩道をジョッギングしていました。
きょうはウツボ公園→中之島の最西端→中之島遊歩道→中央公会堂の往復コース。
1時間ほど走ったので、距離にして7~8キロはあると思います。
途中、リーガロイヤルホテルの前辺りの中之島遊歩道で、右手の堂島川を砂利舟が遡ってゆきました。
舟を操舵するおじさん(船長さん?)に視線を流すと、バッチリ眼と眼が合って、お互い思わず手を振って、「おはようさん~!」。
この経験、これまでに2度ほどありますが、めちゃめちゃ気分が爽やかになりますね。
きょうはお酒に合うオススメ本の紹介をちょっと休憩し、アメリカ映画『ザ・タウン』のエッセーをどうぞ。
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(C) 2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES
監督がハリウッド俳優のベン・アフレック。
そうと知って正直、大味なアクション映画だろうとタカをくくっていた。
しかし、なかなかどうして期待をはるかに上回る犯罪ドラマだった。
自らの宿命を何とか変えようともがく男の生きざまを濃厚にあぶり出す。
アフレックが幼少期から住み慣れたボストンが舞台だ。
文化と歴史に彩られた街のイメージを覆し、「ザ・タウン」と呼ばれる犯罪多発地区での物語。
登場人物の大半がアイリッシュ系とあって、マーチン・スコセッシ監督の『ディパーテッド』(2006年)を彷彿させる。
ダグ(アフレック)は現金強奪グループのリーダー。
終身刑に処された父親から“仕事”を受け継いだ。
幼なじみの仲間もよく似た境遇だ。
狭い世界の中で、悪に染まって生きるしかない。
哀しみを伴った息苦しい閉塞感が映画全体を覆っており、映像もやけに寒々しい。
オープニングの銀行襲撃のシーンが圧巻だ。
肉迫するカメラに熱がこもる。
これは陳腐な映画ではないぞと思わせる。
犯行時、人質にとった女性行員クレア(レベッカ・ホール)にダグが恋情を抱く。
加害者と被害者。
まずあり得ない展開だが、なぜか嘘っぽく感じさせない。
よほど作品に勢いがあるからだろう。
他所からこの街に来たクレアは非常に純朴な女性で、塵芥の中に咲く一輪の花のごとく輝いていた。自分の素性を隠し、懺悔の念を胸に彼女と会うダグの心境はいかばかりか。再生を図
ろうとする彼の背中を2人の愛が押すも、仲間との絆がそれを許さない。
葛藤のドラマを奥行きのある演出力で見せ切った。
久々にアメリカ映画らしい風格をそなえた作品。
アフレックはクリント・イーストウッドの後継者になるやも知れぬ。
ふとそう思った。
2時間5分。★★★★
☆5日から全国ロードショー
(日本経済新聞2011年2月4日夕刊『シネマ万華鏡』。ブログへの掲載を許諾済み。無断転載禁止)
何だか得をした気分になるベン・アフレックの監督作品『ザ・タウン』
投稿日:2011年2月5日 更新日:
執筆者:admin