武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

バルト3国レポート(2009年夏)

バルト3国レポート(17)~

投稿日:2010年3月12日 更新日:

エストニアの西の海に浮かぶヴォルムスィ島へ渡りました。海とはもちろん、バルト海です。
ハープサルからバスで本土の西端にあるロフクラの波止場へ向かい、そこからフェリーに乗り、約50分で島に着きました。
ハープサル(6)
この島の西にはヒーウマー島、その南にはサーレマー島があり、そちらの方に行くフェリーもあります。
観光客はほとんどヒーウマー島とサーレマー島へ足を運ぶようです。
ヴォルムスィ島の桟橋の近くに売店がありました。そこで自転車をレンタルして、いざ島巡り~♪
平たんな島です。一番高いところでも13メートルしかありませんから。
だから風がもろに当たりますが、道はちゃんと舗装されており、快適です。
島の中心地フーロを目指してペダルをこぎました。
途中、レンガ造りの古めかしいロシア正教の教会が無残な姿を呈していました。
ヴォルムス(1)
13~14世紀、この島にスウェーデンからの移民が住み着きました。そのせいか、ハープサル以上に北欧の息吹が濃厚に漂っているような気がしました。
第2次大戦前には約2500人が住んでいたそうですが、今は300人ほど。過疎の島です。
フーロのはずれにあるヴォルムスィ教会の墓地に入った途端、身体が震えました。
ヴォルムス(2)
円環と十字架を組み合わせたケルト十字架が、芝地に数え切れないほど立ち並んでいたからです。
これを見るためにわざわざ島にやって来たんです。それにしても多すぎる~!!
ヴォルムス(3)
ざっと数えると、300基は優にありました。円が欠けていたり、土中に埋もれていたり……。
すべてお墓。1800年代のものが圧倒的に多いです。
本家本元のアイルランドのケルト十字架は、高さが2メートル以上あるのがざらで、そのためハイ・クロスとも呼ばれていますが、ここのケルト十字架は高さが1メートル以下と小振りです。
ヴォルムス(5)
ひとつひとつの十字架には迫力があまり感じられないけれど、これほど多くのケルト十字架を見たのは初めてだったので、ぼくはかなり興奮しました。
アイルランドでもこれほど数がそろって立ち並んでいるところはありません。
どうしてエストニアの辺鄙な島に……?? 不思議ですね。
このとき教会にはだれも人がいなかったので、ぼくは疑問を晴らすことができず、帰国後、この教会とタリンにある国立博物館に質問状を送ったのですが、いまだに回答が来ません。
おいおい、いったいどないなってんねん!?
そのうち忘れたころに回答が送られてくるでしょうが、どうやら中世からアイルランドと交易していたようなので、そのときにケルト十字架がもたらされたのかもしれませんね。
ともあれ、バルト3国でケルト十字架に囲まれ、計り知れないほどの満足感を抱きました~♪♪

-バルト3国レポート(2009年夏)

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プロフィール

プロフィール
武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。