(c)2009「のんちゃんのり弁」製作委員会
今、公開中の日本映画『のんちゃんのり弁』は超オススメです。とくに落ち込んでいる人にはカンフル剤になるかも~。
以下、『うずみ火』(48号)に書いた映画エッセーを紹介します(少し手直ししています)。
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『のんちゃんのり弁』(緒方明監督)はコミックが原作とはいえ、きちんと生きることの意味を描いており、何より元気をもらえる映画。
さっぱり風味だが、後味が最高~!
永井小巻(小西真奈美)、31歳。幼稚園児の娘のんちゃん(佐々木りお)を育てるごく平凡な専業主婦。そんな彼女が自堕落なダメ亭主(岡田義徳)に愛想を尽かし、離婚を決意した瞬間、ドラマが始まる。
母親フミヨ(倍賞美津子)が暮らす東京・下町の実家に娘を伴って身を寄せ、新たな人生をスタートさせようと就活に励むが、すべてカラ振り。なにせこれといってキャリアも資格もない。社会にも疎い。大阪弁で言えば、甘チャンそのもの。当然の結果だ。
しかし向こう見ずで、理性より感情が先走るキャラ。何とかなるわと果敢に行動に移していくが、とうとうなけなしの貯金が底をつき、絶体絶命のピンチに。焦る~!
さぁ、こんなときどうすればいいのか。自分にできること、得意なこと、好きなことを思い浮かべていけば、何とか壁を乗り越えられるかも。ぼくはそうしてきた。選択肢が多ければ多いほど、可能性が高まる。
小巻は、娘のために作った海苔弁当が、幼稚園で評判になっているのを知り、料理の才能に気づく。そして安くて美味しい手作り弁当を売ろうと思い立ったのだ。映画はその奮闘ぶりをコミカルに綴っていく。
もちろんそう簡単に弁当屋を開けるはずがない。挫折の繰り返し。でもそこは開けっぴろげでネアカ、天真爛漫な彼女の性格がプラスに働き、夫のストーカー行為に悩まされようが、目標に向って突き進んでいく。少々のことではへこたれない。とにかくパワフル。
眩いばかりのひたむきさ。サバの煮付けに惚れ込み、彼女が弟子入りした小料理店の大将(岸部一徳)もそこに惹かれ、精一杯、応援する。ぼくも心の中で小巻に熱いエールを送っていた。
素人による手料理の温かさがじんわりと伝わってくる。ちょっと工夫を凝らした弁当がいろいろ出てくる。キラキラした笑顔で調理する彼女の姿が本当に素敵だった。
「人生、~~であらねばならない」。こんなふうに教条的、断定的に説かれると、疲れてしまう。確かにわかりやすいが、ウソっぽい。それより、「~という生き方もあるんやで」と言われる方が納得しやすい。
この映画が心地よかったのは、おおらかな視点で人の生き方を見据えていたから。見終わって、お腹一杯になった~♪♪
めちゃめちゃ元気をもらえる『のんちゃんのり弁』~♪
投稿日:2009年9月28日 更新日:
執筆者:admin