武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

シチリア+マルタひとり旅(2023年4月9日~21日)

(7日目)シチリア+マルタひとり旅

投稿日:

せっかくエトナ山の麓にあるカターニアに来たのだから、山頂近くまで行けるツアーがあるのかなと探すと、いろいろありました~!

エトナ登山のイラストマップ

朝、ツアー会社に申し込みに行くと……。

「今日は午後から天気が悪うなるさかい、登っても雲の中で何も見えまへん。明日もそう。週明けにしなはれ」

週末の稼ぎ時やのに、えらい商売気のない人やな~。

ぼくは明日の夕方、マルタへ移動するので、無理ですがな。

そこで急きょ予定を変更し、北方に位置する景勝地タオルミーナへ日帰り旅行することにしました。

鉄道より料金が安く、便数も多いバスを利用。

所要時間は1時間5分。

乗客の皆さん、バスターミナルで整然と並んでいたのに、バスが来るや、我先にと平気で割り込んできて、あっという間にカオス状態に。

このあとカオス状態に

ぼくを含め外国人観光客は呆気に取られ、知らぬ間に後の方で乗る羽目になりました。

押し退けた人たち、大概、イタリア人(笑)

ここはインドか、ひと昔前の大阪か~!!

やっとこさ乗り込み、後ろの方の席に座ると、横にはぼくを押し退けて乗った、図体のでっかいお兄さん。

赤いキャップのお兄さん。広島ファンかな(笑)

文句言うたろと思うたら、悪びれもせず、笑みを浮かべ~。

「ナポリから来ましてん。タオルミーナは初めて」(推測)

そんなこと、知るかい~(怒)

シバイたろか(逆にシバカれそう)。

そして、あろうことか窓際の席と変わってくれました。

もう怒る気が失せましたわ、ハハハ(笑)

そんなわけで、バスはタオルミーナに到着しました。

   ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

世界的に知られる保養地+景勝地のタオルミーナは、リュック・ベッソン監督のヒット作『グラン・ブルー』(1988年)でロケ地の1つになった町ですね。

美しい入り江に浮かぶ小さな島「イソラ・ベッラ」も映画のワンシーンに使われていました。

下の左側が「イソラ・ベッラ」

素潜りの世界記録に挑む主人公ジャック・マイヨールのライバル、エンゾに扮したジャン・レノがとにかくカッコよかった!

ジャン・レノ(左)が若い

当地はさすがに観光客が多い。

イタリア国内はもちろん、国外からも。

話している言語で判断すると、国外で一番多いのがイギリス人、次いでフランス人、ドイツ人、北欧諸国の人の順かな。

どういうわけか、アメリカ人がほとんどいない。

「イソラ・ベッラ」へ続く坂道で初めて日本と会いました。

「イソラ・ベッラ」への入り口

おそらく新婚旅行で来た熱々のカップル。

日本語を話していたので、反射的に挨拶しました。

「こんにちは。シチリアを旅行中ですか」

2人はギクッとし、チラッとぼくの顔に視線を注いでから、完全に無視して去っていきはった。

このケース、海外で結構、体験しているので、ノープロブレムです(笑)

ここまで来て、日本人と言葉を交わしたくないと思っているのでしょうかね。

ランチは、「イソラ・ベッラ」を臨むビーチのレストランで、ペンネと白ワイン。

シチリアのワインは深みがあり、ホンマに美味い!

曇り空が鬱陶しいとはいえ、気分的に贅沢な時間を過ごせました。

そうそう、ここのビーチ、台湾系のおばちゃがやたら多かった。

彼女たちは、自称、「台湾式マッサージ」の施術師。

観光客に遠慮なく呼び込みをしてはった

「肩や腰、凝ってまっしゃろ」

「30分でとことんほぐしまっせ」

「タオルミーナの思い出になりまっせ」

などなど、呼び込みが強烈。

「ノーサンキュー。クイックマッサージによぉ行ってるから」と断っても、なかなか諦めません。

こうなったら、またも「伝家の宝刀」(大阪弁のカツ)を使わなしゃあないか~と腹を括ったら、ぼくの胸の内を読んだのか、そそくさと去って行きはりましたわ(笑)

気持ち良さそう

クライマックスは、古代ギリシアの円形劇場。

ここからのエトナ山の眺めがめちゃめちゃ素晴らしい~!

ツアー会社のおっちゃんが言うてた通り、午後から厚い雲が山頂付近を覆っていましたが、それでも感動モノでした。

一瞬、晴れ間が覗いた時にちゃんと撮れました!

今日は天気が今一つとはいえ、実にたおやかな時間を過ごせ、素敵な日帰りプチ旅行になりました。

円形劇場に佇んでいると、ごく当たり前の言葉が脳裏に浮かんできました。

ホンマ、平和ってええもんやなぁ。

   ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

夕刻、タオルミーナからカターニアへ戻り、夜半、下町にある魚料理専門のトラットリア(大衆食堂)で、実質的なシチリア最後の晩餐を満喫しました。

1時間いたのに、誰も客が来なかった。ウィークエンドというのに……

どうやら、タコ中毒(依存性?)になってしまったようで、無意識にタコ料理をオーダーしてしまいました (笑)

出てきたのは、シンプルそのもの、タコのオリーブオイル漬けでした。

あと、サラダ+白ワイン。

勘定を払うと、店のお兄さんが「シェイ、シェイ」と言ったので、「日本人ですねん」と返すと、苦笑いし、「すんません。ありがとうございました~ 」と日本語で。

この人いわく、コロナ禍前は、それこそアジアの観光客=中国人だらけで、それより以前は日本人が際立っていたそうです。

しかし完全に逆転……。

「日本人観光客はホンマに久しぶりですねん。てっきり中国人観光客がまた戻ってきたと思うてました」

こちらに来て、中国人観光客をほんの少し目にしましたが、おそらく本土ではなく、台湾の人かもしれませんね。

そのお兄さんに、今なおマスク社会が続いている日本の現状を説明し、画像を見せると~。

「わっ、懐かしい光景やな~。何か滑稽やわ。コメディーを見てるみたい。日本人はマスクを愛してはるんやね」

そう言って、ゲラゲラ笑うてはりました。

このあとゲストハウス近くのバールへ寄り、しばしウイスキータイム。

ここでも、スコッチ・ブレンデッドのJ&Bしかなかったです。

シングルモルトを置いている店は見かけませんでした。

ワインの専門店は結構、ありましたが。

いかにもアルバイトっぽいお姉さんに、「ウィズ・アイス(ロック)で」とオーダーすると、画像のように出てきました。

大概、こんな感じです。

バールの外観

バールの屋内。日本のバーとは全く異なります

ワイン専門の店は結構、多かったです。

スーパーのお酒コーナーは、大半がワイン。

あとはリキュールで、ウイスキーが驚くほど少なかったです。

スーパーのお酒売り場

   ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

書き忘れないうちに、シチリアに対する感想・印象を記しておきます。

オレンジ売り

街中の売店

床屋さん

わずか8日ばかりの滞在でしたが、非常に居心地がよかったです。

皆さん、人懐っこくて、気取ったところがさらさらなく、親切でした。

ひと言で言えば、ベタな感じ~(笑)

それにイラチな人が多い。

横断歩道で人が渡っていると、車のドライバーは停車せず、スピードを落とさずに避けていこうとしはりますから。

怖い、怖い。

マフィアのイメージから治安が悪いと思われがちですが、ヤバい目に遇ったことは皆無で、全くノープロブレムです。

シチリアの風土と住民気質……、どこかと似ているなぁと思っていたら、スペイン南部のアンダルシアでした!

アンダルシアより少し洗練させた感じかな(アンダルシアの人、すんません(笑))

以前、ちょこっと書きましたが、大阪と大阪人とも親和性があり、それゆえ、「大阪(人)=シチリア(人)=アンダルシア(人)」と勝手に定義付けました~ (笑)

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プロフィール

プロフィール
武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。