せっかくエトナ山の麓にあるカターニアに来たのだから、山頂近くまで行けるツアーがあるのかなと探すと、いろいろありました~!
朝、ツアー会社に申し込みに行くと……。
「今日は午後から天気が悪うなるさかい、登っても雲の中で何も見えまへん。明日もそう。週明けにしなはれ」
週末の稼ぎ時やのに、えらい商売気のない人やな~。
ぼくは明日の夕方、マルタへ移動するので、無理ですがな。
そこで急きょ予定を変更し、北方に位置する景勝地タオルミーナへ日帰り旅行することにしました。
鉄道より料金が安く、便数も多いバスを利用。
所要時間は1時間5分。
乗客の皆さん、バスターミナルで整然と並んでいたのに、バスが来るや、我先にと平気で割り込んできて、あっという間にカオス状態に。
ぼくを含め外国人観光客は呆気に取られ、知らぬ間に後の方で乗る羽目になりました。
押し退けた人たち、大概、イタリア人(笑)
ここはインドか、ひと昔前の大阪か~!!
やっとこさ乗り込み、後ろの方の席に座ると、横にはぼくを押し退けて乗った、図体のでっかいお兄さん。
文句言うたろと思うたら、悪びれもせず、笑みを浮かべ~。
「ナポリから来ましてん。タオルミーナは初めて」(推測)
そんなこと、知るかい~(怒)
シバイたろか(逆にシバカれそう)。
そして、あろうことか窓際の席と変わってくれました。
もう怒る気が失せましたわ、ハハハ(笑)
そんなわけで、バスはタオルミーナに到着しました。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
世界的に知られる保養地+景勝地のタオルミーナは、リュック・ベッソン監督のヒット作『グラン・ブルー』(1988年)でロケ地の1つになった町ですね。
美しい入り江に浮かぶ小さな島「イソラ・ベッラ」も映画のワンシーンに使われていました。
素潜りの世界記録に挑む主人公ジャック・マイヨールのライバル、エンゾに扮したジャン・レノがとにかくカッコよかった!
当地はさすがに観光客が多い。
イタリア国内はもちろん、国外からも。
話している言語で判断すると、国外で一番多いのがイギリス人、次いでフランス人、ドイツ人、北欧諸国の人の順かな。
どういうわけか、アメリカ人がほとんどいない。
「イソラ・ベッラ」へ続く坂道で初めて日本と会いました。
おそらく新婚旅行で来た熱々のカップル。
日本語を話していたので、反射的に挨拶しました。
「こんにちは。シチリアを旅行中ですか」
2人はギクッとし、チラッとぼくの顔に視線を注いでから、完全に無視して去っていきはった。
このケース、海外で結構、体験しているので、ノープロブレムです(笑)
ここまで来て、日本人と言葉を交わしたくないと思っているのでしょうかね。
ランチは、「イソラ・ベッラ」を臨むビーチのレストランで、ペンネと白ワイン。
シチリアのワインは深みがあり、ホンマに美味い!
曇り空が鬱陶しいとはいえ、気分的に贅沢な時間を過ごせました。
そうそう、ここのビーチ、台湾系のおばちゃがやたら多かった。
彼女たちは、自称、「台湾式マッサージ」の施術師。
「肩や腰、凝ってまっしゃろ」
「30分でとことんほぐしまっせ」
「タオルミーナの思い出になりまっせ」
などなど、呼び込みが強烈。
「ノーサンキュー。クイックマッサージによぉ行ってるから」と断っても、なかなか諦めません。
こうなったら、またも「伝家の宝刀」(大阪弁のカツ)を使わなしゃあないか~と腹を括ったら、ぼくの胸の内を読んだのか、そそくさと去って行きはりましたわ(笑)
クライマックスは、古代ギリシアの円形劇場。
ここからのエトナ山の眺めがめちゃめちゃ素晴らしい~!
ツアー会社のおっちゃんが言うてた通り、午後から厚い雲が山頂付近を覆っていましたが、それでも感動モノでした。
一瞬、晴れ間が覗いた時にちゃんと撮れました!
今日は天気が今一つとはいえ、実にたおやかな時間を過ごせ、素敵な日帰りプチ旅行になりました。
円形劇場に佇んでいると、ごく当たり前の言葉が脳裏に浮かんできました。
ホンマ、平和ってええもんやなぁ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
夕刻、タオルミーナからカターニアへ戻り、夜半、下町にある魚料理専門のトラットリア(大衆食堂)で、実質的なシチリア最後の晩餐を満喫しました。
どうやら、タコ中毒(依存性?)になってしまったようで、無意識にタコ料理をオーダーしてしまいました (笑)
出てきたのは、シンプルそのもの、タコのオリーブオイル漬けでした。
あと、サラダ+白ワイン。
勘定を払うと、店のお兄さんが「シェイ、シェイ」と言ったので、「日本人ですねん」と返すと、苦笑いし、「すんません。ありがとうございました~ 」と日本語で。
この人いわく、コロナ禍前は、それこそアジアの観光客=中国人だらけで、それより以前は日本人が際立っていたそうです。
しかし完全に逆転……。
「日本人観光客はホンマに久しぶりですねん。てっきり中国人観光客がまた戻ってきたと思うてました」
こちらに来て、中国人観光客をほんの少し目にしましたが、おそらく本土ではなく、台湾の人かもしれませんね。
そのお兄さんに、今なおマスク社会が続いている日本の現状を説明し、画像を見せると~。
「わっ、懐かしい光景やな~。何か滑稽やわ。コメディーを見てるみたい。日本人はマスクを愛してはるんやね」
そう言って、ゲラゲラ笑うてはりました。
このあとゲストハウス近くのバールへ寄り、しばしウイスキータイム。
ここでも、スコッチ・ブレンデッドのJ&Bしかなかったです。
シングルモルトを置いている店は見かけませんでした。
ワインの専門店は結構、ありましたが。
いかにもアルバイトっぽいお姉さんに、「ウィズ・アイス(ロック)で」とオーダーすると、画像のように出てきました。
大概、こんな感じです。
ワイン専門の店は結構、多かったです。
スーパーのお酒コーナーは、大半がワイン。
あとはリキュールで、ウイスキーが驚くほど少なかったです。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
書き忘れないうちに、シチリアに対する感想・印象を記しておきます。
わずか8日ばかりの滞在でしたが、非常に居心地がよかったです。
皆さん、人懐っこくて、気取ったところがさらさらなく、親切でした。
ひと言で言えば、ベタな感じ~(笑)
それにイラチな人が多い。
横断歩道で人が渡っていると、車のドライバーは停車せず、スピードを落とさずに避けていこうとしはりますから。
怖い、怖い。
マフィアのイメージから治安が悪いと思われがちですが、ヤバい目に遇ったことは皆無で、全くノープロブレムです。
シチリアの風土と住民気質……、どこかと似ているなぁと思っていたら、スペイン南部のアンダルシアでした!
アンダルシアより少し洗練させた感じかな(アンダルシアの人、すんません(笑))
以前、ちょこっと書きましたが、大阪と大阪人とも親和性があり、それゆえ、「大阪(人)=シチリア(人)=アンダルシア(人)」と勝手に定義付けました~ (笑)