シラクーサで泊まった駅前のちょっと寂れた感じのミニホテル、なかなか快適でした。
受付のスタッフがみな親切で、しかもイチビリ(笑)
「テレビの映りが悪いよ」と言いに行くと、イケメンのお兄さんがいきなり、テレビの側面を平手打ち、その途端、バッチリ映った~!
「週に1回、こうせなあきませんねん」
ホンマかいな。
カプチーノとクロワッサンの朝食を取っている時、こちらに来て初めて日本人(女性)と会いました~!
「今日もええ天気ですね。シチリアは初めてですか?」
日本語で話しかけると、ポカーンとしてはります。
えっ!?
「うち、シンガポール人ですねん」
彼女、笑いながら、キレイな英語で返してきはりましたわ。
そうでっか、ハハハ(笑)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
朝食後、ニョキっと半島のように伸びているシラクーサの旧市街を散策しました。
正しくはオルティージャ島といいます。
そこに入る手前、超有名な古代ギリシアの科学者アルキメデスとツーショットを決めました。
この人、ギリシアの植民都市だったシラクーサ出身なんですね。
知らなんだ。
海岸沿いを歩いていると、朝っぱらから泳いでいるおっちゃん連中がいました。
水温が低いのに、よぉやるわ~と思いながら、スマホで撮影していたら、「こっちに来て、一緒に泳ぎまへんか」(推測)と手招きしてくれはった。
ぼくも手を振って日本語で返しました。
「何でそんな冷たい海に入らなあかんねん。風邪引くわ」
向こうはキョトンとしてはった、ハハハ(笑)
このあと、リュック・ベッソン監督の懐かしい映画『グラン・ブルー』(1988年)の主人公ジャック・マイヨールのライバル、素潜りの世界王者エンゾのモニュメントと対面。
101メートルの深さまで潜ったこの人、シラクーサの旧市街で生まれ育ちはったんですね。
これも知らなんだ。
このままっすぐ進んでいくと、旧市街の最南端。
そこに、13世紀に建造された堅固なマニアーチェ城がデンと構えていました。
先端まで行けるみたい。
そのことがわかった瞬間、例の〈病気〉が出てきましたがな。
大きく深呼吸してから、快晴の下、潮風に向かって、絶叫~!!
イェーッ~~(^O^)/
旅に来て最初の雄叫び。
あゝ、気持ちよかった、せいせいしましたわ。
ところが、横の岩の向こう側(死角)に座ってはった娘さん、びっくりして、「キャー!」
イタリア人だったので、翻訳アプリを駆使し、必死で事情を説明したんですが、何で絶叫したのか、その理由はわかってもらえませんでした……(笑)
気持ちを取り戻し、再び街中へ。
長細いドォーモ広場に来た時、記憶の片隅に残っていた映画のワンシーンが脳裏に甦ってきました~!
その映画とは、『ニューシネマ・パラダイス』のジョゼッペ・トルナトーレ監督が撮った『マレーナ』(2000年)。
覚えてはりますか?
12歳の少年が美貌の人妻に恋情を抱く異色青春グラフィティ。
その人妻に扮したモニカ・ベレッチがこれ見よがしにこの広場を颯爽と歩いていました。
この映画で彼女、ブレークしましたね。
つい最近、試写で観た映画(タイトル忘れた)で、すごい悪女に扮してはったので、びっくりポンでしたが。
ランチは、すっかりお気に入りのピラミッド型のライスコロッケ「アランチーノ」。
シチリアの郷土料理です。
ご飯のほか、ひき肉、チーズなどの具材が入っていて、トマトソース味でええ塩梅に味付けしてあり、ビールによぉ合いました。
このシラクーサ、屈指の観光地なのに、あまり俗臭がせず、まどやかな風情が漂っていて、すっかり気に入りました~
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
昼下がり、そんなシラクーサからローカル線の電車ならぬ、ディーゼル車に揺られ、近郊のノート(Noto)という町へ遠出しました。
『地球の歩き方』に、「バロック装飾の美しい小さな町」と紹介されていて、興味をそそられたからです。
ローカル線ってええですね、旅情をそそられます。
理屈抜きに、昭和そのもの。
車内はカーテンと窓が閉ざされたままで、薄暗くて蒸し風呂状態でしたが、隣の2人のお姉さんはひたすらスマホとにらめっこ。
こっそり盗撮したった、ハハハ~ (笑)
ノートの街は、18世紀のバロック風の建物だらけで、世界遺産に登録されています。
確かイタリアは世界で一番、世界遺産の登録数が多いんとちゃいますか。
何だか感覚がマヒし、ありがたみが薄らいできますね~ (笑)
こちらに来て、ずっと快晴続きです~
朝晩は12~14度くらいですが、日中は20度を超えます。
でも湿気がないので快適そのもの。
雰囲気のあるノートの街を散策してから、ワインバーで、シチリアの極上白ワインを堪能。
店主がイタリア語でべらべら説明してくれはりました。
推測するに、こんな内容かな、知らんけど。
「これを口にしたら、他の白ワインは飲めまへん。どうでっしゃろ」
う~ん、確かに仰せの通りでした。
しもた、銘柄を見るのん忘れた!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ほろ酔い気分でシラクーサへ戻り、ふと気付いたことがありました。
小さな車やオート三輪が意外と多いんです。
日本で見かける軽自動車とはちょっと違います。
自動車に詳しい人、その理由を教えてください。
薄暮、アリーナに佇んでいると、出航する大型の客船が目の前を航行していきました。
その後、まだエネルギーを蓄えたまばゆい夕陽がイオニア海を神々しく照らしていて、妙に感傷的な気分に~。
晩御飯は、タコのサラダとチキンのソテーでした。
どうやらタコ中毒になってきたみたい (笑)
「チキンにこれを注ぎなはれ」
店のお兄さんから言われたのが、シチリア産のオリーブオイル。
見たことのない銘柄……。
わっ、味が格段に引き立った~!!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
食後、無性にウイスキーがほしくなり、駅前のバールに入りました。
バーマンは、見るからに人の良さそうな青年。
スコッチのJ&Bしかなかったので、そのロックをオーダーすると、そのお兄さん、氷を手づかみでグラスに入れ、ウイスキーをドバッと注ぎはりました。
グラスから溢れそう。
ダブルどころか、トリプル以上ですがな(笑)
他に客がいなかったので、翻訳アプリを使って会話を楽しみました。
「シチリアは、イタリアの北部といろいろちゃいますね。こちらの人は気さくでフレンドリーやし」
ぼくがそう言うと、ここぞとばかり喋りまくりはった。
何度も中断してもらい、翻訳アプリで確かめると、こんな内容でした。
「ミラノ、トリノ、ジェノバなど北部の人間とは全く合いませんわ。ローマ人もそうかな。気取っとるから。ナポリはギリギリセーフ。どこかシチリアを見下しているような気がしますねん。何であんな格好つけるんやろ。ホンマにすかんわ~ 」
かなり辛辣なご意見。
経済的な面も含め、もろにイタリアが抱える南北問題ですね。
「日本でもそうなんですか 」
青年から訊かれ、どう答えてええのか分からなくなり、咄嗟にこう返しました。
「ぼくが生まれ育った大阪・関西の人間は、何となくシチリアンとよぉ似てますわ」
言い終えてスマホを見せると、いきなり握手されましたがな(笑)
そんなわけで、素敵なシラクーサの夜を過ごせました。