武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

スペイン・アンダルシア紀行(2019年9月2日~12日)

スペイン・アンダルシア紀行~5日目(9月6日)

投稿日:2019年9月13日 更新日:

イベリア半島最南端で叫んだあとは、アフリカ大陸に「デン」して帰る、それを旅の5日目に実行しました。

これも大事な旅の目的の1つですから~(笑)

地中海を挟んでモロッコがあります。

ぼくが宿泊したアルヘシラスからだと、タンジェという町へ船で渡れます。

でも、そこではなく、モロッコにあるスペイン領セウタに行くことにしました。

なぜなら学生時代、モロッコを放浪したとき、タンジェに行ったことがあるからです。

スペインの飛び地、セウタは何とも気になるところ。

そう思って、早朝、アルヘシラスの港から高速フェリーに乗ってゴー~🚢

途中、左手にジブラルタルがその威容を見せてくれました~!!

岩山にかかる厚い雲。

そこに雲間から朝日が差し込み、ヘラクレスが天空から舞い降りてきそうな雰囲気です。

そう、ケルト神話ならぬ、ギリシア神話の世界に誘(いざな)ってくれました。

あぁ、感動せずにはいられません~

海上から望むジブラルタルの神々しい情景は一生、忘れられないでしょう。

1時間10分の航行でセウタに到着。

港の岸壁に「デン」しましたが、せっかく来たんやから、そのまますぐに引き返すのはもったいないので、町を散策しました。

人口約8万人にしては、意外と都会的だったので、びっくり~(^^;)

スペイン人のほかにモロッコ系のイスラム教徒もかなり暮らしてはるので、独特なエキゾチズムが宿っています。

ここはポルトガルのエンリケ航海王子がアフリカにキリスト教を広めるために、ムーア(イスラム教徒)から奪取した地で、1580年にスペインが引き継がれました。

ポルトガル統治時代の建物跡

モロッコ政府がスペイン政府に「そろそろ返還してもらえまへんか」と再三、訴えているにも関わらず、「そんな耳、持ちまへん」とスペイン側は黙殺しているとか。

ジブラルタルにおけるスペインとイギリスの関係によく似てますね。

セウタがアフリカ大陸の最北端なら最高なんですが、残念ながら、そうではないんです。

チュニジアの方が緯度が高いので……。

目抜通りから海岸沿いにひたすら歩き、自然に包まれた半島の先端にやって来ました。

向こうの岬を目指しました

そこは公園でした。

気がつけば、1時間半ほど歩いていましたがな~((+_+))

心地よい潮風に当たり、きれいな光景を眺めていると、全く疲れませんね。

地中海の空気がまた美味い。

周りには人っこ1人いません。

波の音しか聞こえてこない。

基本、ぼくの旅はこういうケースが多いです~(笑)。

目の前にはポルトガルが建造したであろう要塞跡。

その対岸にジブラルタルがあるはずですが、もやっていて見えません。

こういう場合、心眼で見ますねん~(笑)

見えた(ほんまかいな)!!

ここに来たのも何かのご縁、そう思って、スペインに向かって、「イェーツ~」と叫ばせてもらいました(笑)。

わーい、アフリカ大陸で絶叫したった~(^_-)-☆

ひょっとしたら、ジブラルタルまで届いたかも~。

その直後、塀の向こうから背の高い掃除係のおっちゃんが何事があったのかと飛び出てきてきはりました。

「あんたですかいな、有名でっせ。あちこちで叫びまくって。アンダルシアだけやのうて、こっちまで出張して、どんならんお人だすな」

そう言いたげな表情でした。

よっぽどけったいな東洋人と思われたのか、「遠慮させてもらいますわ」とツーショット、撮らしてくれませんでしたわ~(笑)

北アフリカのモロッコ内にあるスペインの飛び地セウタの最北端で気持ちよく叫んだあと、ランチを取るため、見るからに地域のバールといったお店に飛び込みました。

案の定、常連さんばかり。

しかも、年配男性の巣窟でした(笑)

まずはビールと野菜のトマトスープ煮込み。

店主のおじさんが「野菜もええけど、やっぱり魚でっせ。目の前が地中海やもんね~」。

それは大正解です~!!

ビールを飲み干し、シェリー酒のフィノでいただこうと思ったら、「シェリー酒、おいてまへんねん。海の向こうで飲んでちょうだい」。

ないんや~((+_+))

このパターン、結構、多いです。

まぁ、しゃあおまへん。

そこで、アンダルシア産の白ワインをもらいました。

サバ(?)とタラコのフライ、マグロのステージによぉ合いました~!

この魚を揚げてもらいました。サバ??

イギリスのフィッシュ&チップスとソーセージも美味いけど、総合的に評価すると、文句なくスペインのタパスの方に軍配が上がりますな~。

とにかく、タパスで失敗はゼロ~。

ウキウキしながら飲み食いしていると、常連諸氏が近づいてきて、長身の男性が片言の英語で話しかけてきはりました。

このノリ、アイルランドの田舎のパブと全くおんなじです。

ぼくが日本人と知って、いろいろ質問攻め。

お声がけしてくれはった人がいちいち通訳してくれ、助かりました。

「日本酒の味、どんなん?」

「酒を温めて飲むそうやけど(熱燗のこと)」

「日本のウイスキー、べらぼうに値段が高いけど、なんで?」

「日本のワインってあるのん?」

なんや、全部、お酒のことばっかりやん~(笑)

皆さん、どう見ても、酒飲みですわ。

一緒に記念撮影して、時計を見ると、ありゃ、帰路便に予定していた13時発のフェリーがすでに出てましたがな~((+_+))

わっ、この店に1時間以上、長居してたんや~!

ほんま、こんなんばっかりですわ。

次の船は16時……。

あと2時間半もある。

まぁ、しゃあない、しゃあない。

アフリカ大陸に「デン」して、すぐに引き返すつもりが、結局、セウタに7時間も滞在するハメに~。

何でも思うようにはいきませんね。

街中を散策していると、公園の横にカジノがありました。

日本でいろいろ話題になっていますが、ヨーロッパでは田舎町でもカジノをよく見かけます。

このカジノのそばでは子供たちが遊んでいます。

いろいろ考えさせられますね~。

わっ、「ヘラクレスの柱」の像が~!!

怪力のヘラクレスが大西洋と地中海をふさいでいた山をたたき割り、ジブラルタル海峡ができたといわれており、残った両側の山を見立てて、「ヘラクレスの柱」と呼ばれています。

ヨーロッパ側がジブラルタルの岩山、アフリカ側がセウタにあるアチュ山らしいです。

こういう話、大好き~!

そのアチュ山を帰りのフェリーからしかと目にしました。

午後5時のジブラルタルは岩山に白い雲が覆っていました。

そんなわけで、思いの外、充実したエキスカーション(遠出の遠足)になりました~(^_-)-☆

   ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

アルヘシラスへ戻ると、もう夕刻。

夜のバール巡りがすごく楽しかった。

この手のネタが多くなり、ごめんなさい~

これまでスペインは……。

学生時代にアンダルシアを3日間だけ訪れ、20年前には拙著『スペイン「ケルト」紀行』を書くため、北西部ガリシアに1か月近く滞在、その帰りにポルトガルを縦断し、アンダルシアへ。

3年前は、古代ケルトの取材で、首都マドリッドの北東部を中心に各地を巡りました。

そして、この旅が4回目。

その中で、人の熱量、イチビリ度、馴れ馴れしさ~から判断し、アンダルシアがやっぱり面白度が最高ランクです~!

バールの雰囲気が全然、ちゃいますわ。

ぼくのような一見さんの異邦人が入ってきても、すぐにお客さん、お店の人と仲良くなれます。

おそらく壁を作らないんでしょうね。

この地に1か月、居着いたら、帰れなくなりますわ~(笑)

他の地域同様、タパスにぞっこんです~。

こちらのバールは、オーセンティックなバーでも、イギリス・アイルランドのパブでもなく、日本の居酒屋ですな。

安くて美味な、そしてバラエティーに富んだ惣菜を提供してくれるんですから。

だいたい1品が2ユーロ(約250円)くらい。

タパスの画像をいろいろアップします。

臓物のピリ辛煮、最高でした!

典型的なバール

ガラスケースの中のタパスを指差すだけ

魚類はすぐに調理してくれます

このお姉さん、大阪の子みたいでした~(^_-)-☆

午後9時半ごろから人がいっぱい出てきて、田舎町のアルヘシラスはえらい賑わいです。

とりわけ家族連れが多い(笑)

広場は、子どもたちがはしゃぎ回ってます~。

何だか幸せに感じました。

-スペイン・アンダルシア紀行(2019年9月2日~12日)

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プロフィール

プロフィール
武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。