あっちへ行ったり、こっちへ行ったりと迷いながら人生を歩んでいると、どこかで転機にぶつかる時がありますね。
ぼくはスコッチのシングルモルトに出会えて、ライフワークともいえる「ケルト」の世界にのめり込むことができました。
そんな人生のちょっとしたターニングポイントを描いた4つの短編オムニバス映画『Only4you』は意外と拾いモノでした。
元落語家を主人公にした最後の『すけ坊』の他は、みな若者の物語。
いや、『すけ坊』もぼくからすれば、ヤングの映画です。
1話『色はヒカリ』:引っ越しのアルバイトでたまたま一緒になった4人の男子学生がトラックの荷台である情景を目にして……。
2話『まどろす』:昭和30年代、演歌歌手をめざす学生がとあるマドロス(船乗り)酒場に出向き……。
3話『ゆらい、ほしぼし、笑うまで』:奄美大島にある施設に入所した、性格のまったく異なる2人の女子高生が天体ショーを見てときめいて……。
4話『すけ坊』:スーパーで実演販売をする元落語家の男が子連れの元彼女と遭遇して……。
どれもストーリーが見事に収斂しすぎていて、いささか白々しさが感じられるけれど、こんな瞬間も人生にあっていいと思わせます。
何はともあれ、日々、きちんと生きておれば、何かしら〈出会い〉があり、プラスに転じることがありますね。
そのことをこの映画はさりげなく教えてくれました。
12日から大阪・十三のシアターセブンで公開。
公式サイト:http://www.itoh-c.com/only4you/