阪神が開幕戦に快勝し、気分がええです(^o^)v
今日はお花見日和。
春ですね~♪♪
今日から、ちょっと渋めの秀作『シャドー・ダンサー』が公開されます。
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「キャル」(1984年)、「クライング・ゲーム」(92年)、「父の祈りを」(93年)……。
北アイルランド紛争やIRA(アイルランド共和軍)を描いた映画の中で、本格的なスパイ・サスペンスはこれが初めて。
プロテスタント系市民が多数派を占める英国領北アイルランドで、少数派のカトリック系市民による公民権運動を機に、70年代前半に泥沼の紛争が勃発。
反英武装闘争を貫くIRAとロイヤリスト武装組織、英軍、警察との衝突がいくたの負の遺産を残した。
本作の内容もそうだ。
和平合意の5年前、IRAの爆弾テロが続発していた1993年の物語。
ベルファストで暮らすシングルマザーのコレット(アンドレア・ライズブロー)はその実行犯だった。
彼女が幼少時、自身の行動が引き金となり、紛争の巻き添えで弟を亡くした。
その罪悪感から組織への忠誠心を強めていた。
兄弟も周囲もみなIRAの一員だ。
そんなコレットに、英国情報局保安部(MI5)の捜査官マック(クライヴ・オーウェン)が接近し、究極の選択を迫る。
ホテルの一室で、2人が対峙する場面は現実味を伴い、言い知れぬ緊迫感を生み出していた。
マックの言動は紳士的だが、実は脅し同然で、巧みに彼女を操り、追い込んでいく。
その恐ろしくも非情な世界をジェームズ・マシュー監督は主人公に寄り添いながら、寒々しい映像の中であぶり出す。
スパイ映画には密告や裏切りが付き物だ。
最愛の息子を守らんがために当局と組織、家族との狭間で揺れ動くコレット。
人前では凛とした表情を崩さないだけに、彼女の心模様があまりにも哀しい。
ラスト、題名の意味が驚きを持って判明する。
フィクションだが、さもありなんと思わせ、そこに紛争の根深さを改めて感じさせる。
真のテーマは家族愛だった。
1時間41分
★★★(見ごたえあり)
☆30日からシネ・リーブル梅田で公開
(日本経済新聞2013年3月29日夕刊『シネマ万華鏡』。ブログへの掲載を許諾済み。無断転載禁止)