今日、節分ですね。
知り合いの知り合いになる某女性占い師さんがこんなことを言うてはったそうです。
今夜の午後7時から15分間と8時から15分間、それぞれ静かな状態で座っていたら、今年、自分を支えてくれる神様が舞い降りてくるとか。
実践してみませんか。
何かジワーンと感じるみたいですよ。
それとは全く関係なく、この絵画(下)を学生時代に初めて観たとき、ぼくは何かジワーンと感じました。
ご存知ですか?
この作品の制作過程を描いた映画『ブリューゲルの動く絵』が公開されています。
いろんな意味で面白いです。
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牧歌的な情景の中でうごめく数百人の人物。
風車を頂に乗せた巨岩がにょきっとそびえ立つ。
16世紀、フランドル(ベルギーを中心とした地域)絵画の巨匠ブリューゲルの代表作『十字架を担うキリスト』に秘められたナゾを解き明かす。
それが単なるドラマ仕立てではない。
全てのシーンが絵画そのものと言ってもいいほど卓抜した映像美で構築されている。
静止画像ではない。
邦題のごとく、まさに絵が動くのである。
ポーランド人のレフ・マイェフスキ監督が最新のCG技術を駆使し、3年がかりで完成させた。
内容もさることながら、映像を見るだけでも十分、価値がある。
絵画と映画の融合。
にわかに人物の表情が変わり、その都度、ハッとさせられた。
名画に描かれた赤い軍服姿の兵士たちがことさら異様に映る。
宗教改革の最中で、新教徒を弾圧しているのだ。
このおぞましい情景を表現してほしいとブリューゲル(ルトガー・ハウワー)が友人ヨンゲリング(マイケル・ヨーク)から依頼され、絵筆を執った。
非寛容と暴力がはびこる世の中。
それをキリスト受難と復活の物語に重ね合わせる。
映画の語り手はブリューゲルと友人、そして聖母マリア(シャーロット・ランプリング)の3人。
風や木槌の音、登場人物の話し声が見事なアンサンブルとして覆いかぶさる。
キリストの時代と絵画制作の時代が交錯し、少しとまどうかもしれない。
それがしかし、画家と監督の意図だ。
自分のことしか目を向けず、無関心を貫く民衆。
現代にも通じる問題とあって、胸が痛くなった。
重要なものは見逃される。
そこがポイント。
絵画の主人公キリストが中央に配されているのに、一見、気づかない。
暗示めいたメッセージに感性と知性が程よくくすぐられた。
1時間36分
★★★
☆上映劇場=大阪・シネ・ヌーヴォ、第七藝術劇場、京都シネマ、神戸アートビレッジセンター
(日本経済新聞2012年2月3日夕刊『シネマ万華鏡』。ブログへの掲載を許諾済み。無断転載禁止)
摩訶不思議なアート映画~『ブリューゲルの動く絵』
投稿日:2012年2月3日 更新日:
執筆者:admin