武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

ランニング

ランニングを始めた理由(わけ)

投稿日:2011年11月7日 更新日:

きのうハーフマラソンを思いのほか好タイムで完走でき、今朝も気分がいいです。
今ではランニングは日常生活にすっかり溶け込んでいます。
3年前までまったく無縁だったのに、どうしてこうなったのか。
振り返ってみましょう--。
2008年の2月ごろ、突然、体調が悪化しました。
眼精疲労がひどくなり、パソコンの画面を見るのが辛くて、辛くて。
同時に手足がしびれ、全身、強烈な冷えに襲われて……。
今まで健康が唯一の取り柄とばかり思っていたので、びっくりし、また大きなショックを受けました。
病院で受診しても、データ的には異常が見られず、自律神経失調・男性の更年期障害と診断され、数種類のビタミン剤を処方されるだけ。
そんなモノ服用しても、すぐに回復できません。
ますます体の具合がおかしくなり、このまま自分は朽ちていくのでないかと言い知れぬ不安を抱きました。
衰退・転落していくのが実際、体で感じ取れたので、よけいに恐ろしかったです。
体力はそれまでの3割ほどにまで低下していたと思います。
執筆意欲が湧かず、映画の試写に行くのもしんどくて、飲み会はすべてキャンセル。
大好きなお酒を飲みたくなくなったのだから、相当なものです。
4月から始まった大学(関西大学社会学部マスコミ専攻)の講義では、から元気を振り絞って学生たちと向き合っていましたが、帰宅すると、ぐったりして寝込む、そんな感じでした。
ぼくはもう終わりかな……。
すっかり弱気になっていたのです。
そんな時、自宅マンションの前の公園で、お年寄りたちがウォーキングしている光景を目にしたのです。
「そうか! 体を動かせば、少しはマシになるかもしれない」
中学、高校時代は陸上部で日々、汗を流していましたが、大学に入ると、スポーツから縁遠くなり、社会人(新聞記者)になってからは、それこそ不摂生な生活の連続……。
たまに草野球やボウリング、ハイキングなどを楽しむことはあっても、継続的に運動に取り組んだことはなかった。
お年寄りたちに触発され、ぼくは毎朝、公園やマンションの屋上でウォーキングするようになりました。
最初のうちは10分ほど歩くと、しんどかった。
よほど体力がなかったのですね。
半年ほど経つと、体が順応してきたようで、自宅から500メートルほど離れたうつぼ公園まで歩いて行くのが楽しくなってきました。
そこで体操をして、歩いて帰る。
映画の試写を観るため、梅田界隈へもっぱら利用していた自転車を止め、ウォーキングに切り替えました。
歩くことが当たり前になってきたのです。
今でもよく歩きますよ。
そのうち(1年ほど経ってから)、単なるウォーキングが物足りなくなってきましてね。
そこでスピードをつけた速歩を始めました。
ピンと背筋を伸ばし、少し大またでグイグイ歩いていく。
結構、体力がつきますよ。
この速いウォーキングを半年ほど日常に取り込んでいたら、いつしかゆっくり走るようになってきました。
体が自然とそう反応してきたのでしょうか。
ウォーキングとジョギングの中間、スロージョギングです。
お年寄りがよくやってはります。
急いで歩いているサラリーマンよりも遅いです。
でも確かに走っている。
スロージョギングから普通のジョギングに変わっていくのはあまり時間がかからなかった。
多分、ゆっくりジョギングしていることが物足りなくなってきたのでしょう。
ウォーキングからスロージョギングに移行した経緯とおなじですね。
ちょっとスピードを加えたジョギング。
スロージョギングに比べ、確かにしんどいです。
最初はうつぼ公園まで行くのがやっとでした。
でも走ったあとの爽快感が何とも言えません。
決して無理をせず、軽い気分で走る。
それを心がけているうちに、だんだんスピードが出てきて、距離も伸びてきて……。
知らぬ間にランニングの域にまで達していました。
ジョギングもランニングですが、ジョギングは人と喋りながら話せるゆったりしたスピード、それ以上をランニングとぼくは勝手に解釈しています。
それが1年前の今ごろです。
毎日、30分ほど走るのが、楽しくて、楽しくて。
陸上競技に励んでいた青春時代を思い出せたりして、ますますランニング熱が高じてきました。
気がつけば、体調がかなりよくなってきた。
走れること自体、体力がついてきた証拠ですからね。
食事がすごく美味しく感じられ、いくら食べても、体重が増えない!!
ビールのノド越しの良さなんてもう最高!!
それまで甲子園球場で阪神がサヨナラ勝ちしたときに味わうビールが世界一美味いと思っていましたが、ランニングの後のビールはそれをはるかに凌駕しています~(^o^)v
血行がよくなるせいか、原稿もスラスラ書けるときが多くなりました。
一番の変化は体が引き締まってきたこと。
無駄な脂肪がそぎ落とされ、全身スリムになりました(元々、ぽっちゃりタイプではありませんが)。
頬の贅肉が落ち、真ん丸い顔で売っていたのに、逆三角形になりつつあります(笑)。
久しぶりに会う人から「武部さん、病気しはったんですか」とよく心配されますが、まったく逆です。
心身ともにシャープになりました。
とにかく体が軽い。
ええ塩梅ですわ。
ヒザや腰の故障がないのが幸いです。
今のところ、ランニングをしていて良かったことばかり。
これは一生の友になるかもしれない。
そう思いました。
と、そこで運命的なひと言を聞いたのです。
忘れもしない昨年12月、大阪・堂島の角川映画試写室。
ぼくの隣の席に座ったA新聞社のH記者が照れながらこう言いました。
「奈良マラソンに出場しましてね、何とか完走できました」
訊くと、フルマラソンです。
えーっ!!!
A記者はぼくと同い年です(そのとき56歳)。
正直、マラソンなんてまったく別世界と思っていました。
楽しくランニングをするだけで十分だと。
でも、A記者の輝くような目を見ているうちに、チャレンジしてみようかなという気持ちがジワジワと芽生えてきました。
すごい刺激になったのです。
それからです、レースに出ることを念頭に置いて走り始めたのは。
自分で言うのも変ですが、一段ステップを上げたといった感じです。
A記者はいきなりフルマラソンに出て、完走を果たしはりましたが、持久力のないぼくにはとても無理だと判断し、最初は10キロ走、次にハーフマラソン、そしてフルマラソンと順々に距離を伸ばしていこうと考えました。
それが今につながっています。
だから本格的に走り出したのは昨年の暮れからです。
以前、ブログで紹介したと思いますが、トレーニングの〈虎の巻〉にしているのが、小出義雄さんが書かれた『マラソンは毎日走っても完走はできない』(角川SSC新書)です。
Qちゃんこと、高橋尚子選手や有森裕子選手ら世界的なアスリートを育てたコーチです。
ランニング
同書の要諦はこれです。
「漫然と走っているだけではダメ、負荷を取り入れないと、絶対に長く、速く走れない」
ぼくにとっては目からウロコでした。
負荷(ストレス)がキーポイント。
なるほど、人生もそうや!
ゆるい環境の中ばかりだと成長しないですからね。
事細かく記されている10キロ走、ハーフマラソン、フルマラソンのトレーニング方法をぼくは実践していこうと決めました。
初心者ランナーにはハードルの高い練習内容ですが、年齢のことを考え、自分なりに少しレベルを落として、忠実にメニューをこなしていきました。
週に2、3回でいいので、時間的にもやり繰りできます。
ほんまに効果があるんやろうか?
初めは半信半疑でした。
でも5月の10キロ走で、44分24秒という自分ではあっと驚く記録を出せ、このトレーニング法は信用できると確信したんです。
きのうのハーフマラソンも、2時間以内をめざすランナーのためのメニューに従って、練習してきました。
結果は1時間55分17秒。
びっくりしましたよ、1年足らずでこんな好タイムを出すことができたんですからね。
次の(来年3月に出場予定の)フルマラソンも、小出トレーニング法を実践して、完走をめざします~!!
以上、ざっとぼくのランニング歴を紹介しました。
つまり、ウォーキング→速いウォーキング(速歩)→スロージョギング→ジョギング→ランニング→トレーニングを取り入れたランニング。
自然の流れでしょうか。
何事も順を追って、焦らずに取り組むことが肝要だとわかりました。
3年前の体調不良がなければ、ひょっとしたらランニングをしていなかったかもしれません。
どんなことでも(たとえ悪いことでも)、何か意味があるのだと実感しています。
春から行っているトレーニングはきついメニューもあります。
市民ランナーがなんで練習でしんどい目をせなアカンねん~と思うことがあります。
しかし、しんどくても苦にならないんですよ。
楽しいんです。
それはランニングが好きだという証しだと思っています。
そぅ、「好きの力」で走らされているような気がしてなりません。
「走らなアカンねん」ではなく、「走りたいねん」。
いつもそんな思いでランニングしています。
強制的、無理強いで事を成していては長く続きませんからね。
というわけで、「好きの力」を出せる限り、楽しくランニングとおつき合いしていきますわ。

-ランニング

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プロフィール

プロフィール
武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。