このアメリカ映画、意外と面白かったです。
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人間の意志ではどうにも抗えない運命を、ある組織が操作している。
人類の悠久の歴史も全てシナリオ通り。
この発想が面白い。
仕組まれた世界に敢然と立ち向かう男に、旬の俳優マット・デイモンを起用した娯楽SF映画。
気鋭の政治家デヴィッド(デイモン)がバレエダンサーのエリース(エイミー・ブラント)と激しい恋に落ちた瞬間、ドラマが始まる。
2人が出会った場所が何と男子トイレの中。
まさに運命的だ!
完全に恋愛映画の流れだが、ここから物語に不穏な空気が張り出す。
デヴィッドを執拗に監視する集団がいるのだ。
題名にもつけられたアジャストメント・ビューロー(運命調整局)のエージェントたち。
ソフト帽にロングのコートといういでたち。
アル・カポネが暗躍した1920年代を彷彿させる。
市民や警察官などを装い、社会に紛れ込む仲間もいる。
非常に官僚的な組織で、みな無表情。
どこまでも謎めいている。
この手の作品には欠かせない要素だ。
その調査局が管理しているのが「運命の書」。
あらゆる人間の人生を決めた設計図である。
スラム出身のデヴィッドが政界で活躍するのは予め定められていたことだが、エリースとの恋愛は想定外だった。
路線修正しようと躍起になる調査局に対し、自分の人生を自らの手で切り開こうとするデヴィッド。
その攻防をサスペンス・タッチで見せる。
単身、巨大組織に対峙する姿は、デイモン主演の「ジェイソン・ボーン」シリーズの主人公とそっくり。
ジョージ・ノルフィ監督は多分にそのことを意識している。
愛する2人が時空を越えてニューヨークの街を疾駆するシーンは実にスリリング。
純然たる恋愛映画と見る方がわかりやすいかもしれない。
1時間46分。
★★★
☆TOHOシネマズ梅田他全国ロードショー中
“運命”に逆らう男の奮闘劇~『アジャストメント』
投稿日:2011年6月2日 更新日:
執筆者:admin