雨雲が張り出してきた午後、大阪市立近代美術館心斎橋展示室にブラリと足を運びました。
この展示室、どこにあるのかご存知ですか。
東急ハンズの東側に建つビルの13階にあります。
あまり知られていないようで、とても残念です。
そこで『油絵の大阪~商都に生きた絵描きたち』(11月7日まで)という美術展が開催されています。
明治から大正、昭和初期に大阪で活躍した26人の画家の作品60余点をじっくり鑑賞してきました。
正直、大阪の洋画家と言えば、佐伯祐三と小出楢重くらいしか知りません。
でも、個性豊かな画家を大阪が多く輩出していたことが、きょうの展示会を観てよくわかりました。
大阪の洋画壇に貢献したのが朝日、毎日の両新聞社だったんですね。
ともに大阪で生まれ、全国紙になった新聞社です。
山内愚僊、松原三五郎。
聞いたことのない人ですが、新聞社に挿絵画家として抱えられたこの2人が、大阪の油絵の創始者だったそうです。
明治20年代のことです。
洋画の講習会も新聞社にお金を出させるなどして、マスメディアを巧みに取り込み、東京、京都とはまた違った油絵が大阪で発展していったということです。
訪れたとき、ちょうど学芸員によるミュージアムトークが始まり、そこで得た知識を今、書いているだけです。
絵画に留まらず、文学、映画、音楽、演劇、芸能などあらゆる文化について言えることですが、文化の興隆は個人(芸術家)の力ではどうにも限界があり、やはり都市力に大きく左右されると思いました。
都市が活気づかないと、文化は必ず失速してしまいます。
一見、金にならないと思われる文化ですが、目先の経済的な側面だけを見るのではなく、もっと包括的、大局的に文化を捉えていく、そんな都市がこれから生き残っていくのではないでしょうか。
文化についてひと言~美術展『油絵の大阪』を鑑賞して
投稿日:2010年10月3日 更新日:
執筆者:admin