武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

大阪

街の品格ってなんやろ……。いまの心斎橋筋を見て~

投稿日:2009年3月29日 更新日:

心斎橋
心斎橋筋は大阪を代表する商店街です。人通りが絶えることなく、いつも活気に満ちあふれています。景気の低迷で昨今、あまり見かけなくなりましたが、それでも買い物目当ての外国人観光客が少なくありません。
そんな心斎橋筋をぼくはよく通るのですが、年々、違和感を抱くようになってきました。
どこにでもありそうな商店街になりつつあると……。
味のある老舗がどんどん姿を消していき、それに代わってチェーン店のドラッグストア、ゲームセンター、ブティックなどが目立ってきました。
いずれも若者を対象にした店です。実際、心斎橋筋を闊歩しているのはヤングが主流です。もはや年配者には場違いなところになったのか、それとも居心地が良くないのか、ほんとうに〈大人〉を眼にしなくなってきました。
ぼくの幼かったころ、心斎橋筋や道頓堀はまさに〈晴れの場〉で、親に連れて行かれるときは、きまってよそ行きの服を着せられました。それほどまで大阪の確固たるブランドとして全国にその名をとどろかせていたんです。
それがいまや、様変わりしました。落ち着いた風情がなくなったというか、とにかく商店街に漂う空気が軽い! 悪く言えば、品性が失せてしまいました。
これも時代の流れなのでしょうかね。ぼくのような浪速っ子にとっては、哀しくてなりません。かつては東京の銀座と張り合っていたのに……。あゝ、昔の面影はいずこに~。
地方の商店街は疲弊し、シャッターが閉ざされたところが多いです。そういう厳しい現状を鑑みると、心斎橋筋は考えられないほど恵まれています。でも、本来の姿ではありません。いったいどうなっていくのでしょうか。
新しい店舗の狭間で、踏ん張っている老舗には心から拍手を送っています。
街の品格ってなんやろ~とふと考える今日このごろです。

-大阪

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。