武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

大阪

シネマトグラフ in 大阪

投稿日:2009年1月21日 更新日:

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ぼくは映画が大好きです。というか、仕事にもしているくらいなので、切っても切れないほど大きな存在になっています。その映画がいつこの世に登場したのかご存知ですか?
1895年、フランス・リヨンで染色業を営んでいたルイとオーギュストのリュミエール兄弟によって発明されました。今年は映画誕生から114年目になります。世界で初めてスクリーンに映写するその「動く写真」は、シネマトグラフと呼ばれていました。
数年前、ぼくはリヨンを訪れ、リュミエールの染色工場跡に足を運びました。そこは映画博物館になっており、館内にシネマトグラフの装置が展示されていました。黒い立方体の箱にレンズがついているだけの非常にシンプルな機械ですが、撮影と映写の両方を兼ね備えた優れモノだったんです。
そのシネマトグラフが、2年後、日本に渡ってきました。リュミエールの工場で染色技術を学んでいた稲畑勝太郎さんが帰国時に持ち帰ってきたんです。稲畑さんは京都人ですが、大阪・船場の化学品専門商社、稲畑産業の創始者で、のちに大阪商工会議所の会頭にもなった実業家です。
京都で試写(プレミア上映?)を行ってから、大阪の南地演舞場(今でいう大衆ホールかな)でお金を取って一般公開しました。わが国における映画興行のはじまりです。
明治30年(1897年)2月15日から2週間。「空前絶後ノ珍機」という触れ込みで、汽車の到着シーンやパリの舞踏会風景、ロンドン・テムズ川の舟遊びなど10本ほど上映されました。1本が2?3分のごく短い記録映像ですが、これが大阪人の度肝を抜き、連日、押すな、押すなの大にぎわい。
難波・高島屋の前に東宝南街ビルが建っていますよね。シネコンのTOHOシネマズなんば、若者向けの衣類店マルイやブティックなどが入っているモダンな建物です。以前は南街会館という映画館でした。
そこに南地演舞場があったんです。大阪、それも難波が日本の映画興行の発祥地! 浪花っ子のぼくはそのことにとても誇りをもっているのですが、残念ながら、あまり知られていません。その事実を記すプレートが、1階エレベーターホールの奥の壁にはめ込まれているので、ぜひご覧ください。
映画黎明期に大阪と大阪人が果たした役割は他にもいろいろあります。じつは大阪は映画とめちゃめちゃ深い関わりがあるんですよ。そのことを少し知ってもらいたくて……。

-大阪

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。