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おたやんのつぶやき 法善寺と富山、奇なる縒り糸
著者:東龍造 |
ペンネームの「東(ひがし)龍造」で編んだ小説の第2弾で、書名になった『おたやんのつぶやき 法善寺と富山、奇なる縒り糸』と『チンチン電車の風音』の中編2作、『ロック・フォートの夕照』の短編1作からなる作品集です。大阪を執筆テーマにしているので、前作同様、いずれも大阪に絡んだ物語になっています。
『おたやんのつぶやき~』は、織田作之助も愛した、かつて法善寺横丁のぜんざい屋に飾られていた大きなお多福人形と、ぼくの祖母をモデルにした女性との交流を綴ったファンタジーです。何せお多福人形が喋るのですから。そのお多福人形が法善寺から流れに流れ、富山にまで行き着いた経緯は、拙著『ぜんぶ大阪の映画やねん』(平凡社、2000年)で記述していますが、それがあまりにもドラマチックなので、いつか小説に書こうと思っていました。
『チンチン電車の風音』は、阪堺線と浜寺公園を舞台にした、ちょっぴりミステリー風の青春譚です。まさか女子大生を主人公にするなんて、自分でも思ってもみませんでした。『ロック・フォートの夕照』は、2016年春、還暦の思い出にと単身で訪れた南インドでの体験を膨らませた、一人称のドラマです。