武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

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「大阪都構想」の是非を問う住民投票を前に、『郷土、大阪市』についての想い

投稿日:2015年5月16日 更新日:

『郷土、大阪市』

 

ロンドン(約840万人)……8倍

 

ニューヨーク(約820万人)とロサンゼルス(約390万人)……6倍

 

ベルリン(約350万人)……4.5倍

 

マドリッド(約330万人)……3倍

 

アジアに目を向けると~。

 

上海(約1870万人)……26倍

 

バンコク(約830万人)……8倍

 

ソウル(約1000万人)……3倍

 

これ、何の数字かわかりますか?

 

ぼくが生まれ育った大阪市との「面積」の比較です。

 

大阪市は203平方キロメートル。

 

人口は約270万人。

 

世界的に見ても、かなり小さいです。

 

日本国内で見ても~。

 

札幌(約190万人)……5.6倍

 

京都(約147万人)、東京23区(約900万人)……3倍

 

神戸(約154万人)……2.5倍

 

横浜(約370万人)……2.2倍

 

「世界の大阪を!」という割にはそのエリアがあまりにも狭いのです。

 

今日、私たちがロンドンと呼んでいるのは、グレーター(大)ロンドンのことです。

 

面積は約1600平方キロメートルで、大阪府(約1900平方キロメートル)をやや小振りにした感じです。

 

そうそう、先進諸国で唯一、大阪市より狭い有名な都市があります。

 

フランスの首都パリです。

 

面積は105平方キロメートル。

 

大阪市の半分です。

 

JR大阪環状線の内側くらいかもしれません。

 

今やしかし、パリは都市圏(人口約1200万人)で捉えられているので、世界的な都市として認知されています。

 

大阪は、大正後期から昭和初期にかけて市域を拡張し(181平方キロメートル)、人口211万人に達し、東京を抜いて日本一の大都市になりました。

 

いわゆる「大大阪」の時代です。

 

その後、それほど面積が増えていないんですね。

 

こぢんまりしたまま。

 

戦後、長らく関西、いや西日本の中心地として東京に次いで日本第2の都市の地位を維持してきましたが、今や横浜に100万人も差をつけられ、第3位に甘んじています。

 

このままでは名古屋に人口で抜かれる可能性もあります。

 

別に人口だけで大都市のあれこれを言うつもりはありませんが、かつて日本第一の商都だっただけに、やはり寂しく感じられます。

 

とりわけ、大阪万博が開催された1970年以降、東京一極集中が始まり、それが今日なお続いているのです。

 

ほんまに異常な感じ。

 

ぼくは多感な思春期以降、大阪から活力が失われていくのをずっとこの目で見てきました。

 

今や開き直っていますが~(笑)

 

先進諸国の中で、かくも首都に一極集中しているのはフランスくらいでしょうか。

 

そのフランスでも、リヨン、マルセイユなど地方都市への分権が進められています。

 

ドイツは典型的な連邦制なので、首都ベルリンといっても、大企業の本社が集中しているわけではありません。

 

なにせ日本からベルリンへの飛行機の直行便がないのですから!!

 

フランクフルトかミュンヘンで乗り継がねばなりません。

 

世界的に地方分権が叫ばれている昨今、東京一極集中は時代に逆流しています。

 

絶対に良くないと思います。

 

もし巨大地震が東京を襲ったら、日本は間違いなく壊滅してしまいます。

 

その意味でも、かつて日本第2の都会であり、経済的に活力のあった大阪がバックアップ機能を持っておく方がいいと思うのです。

 

お隣の韓国では、第2の都市プサンが朝鮮戦争勃発直前の1949年、プサン府がプサン市となり、大阪市より約4倍も広い都市になりました。

 

プサン広域市です。

 

戦時・休戦化体制にあるので、やや特殊な事情かもしれませんが……。

 

かつては大阪府の中で大阪市が人口と経済的に特出していたので、大阪=大阪市といったイメージが強かったです。

 

大阪府はあくまでも黒子的な存在……。

 

でも時代が変わってきているのです。

 

東京一極集中の影響が大ですが、大阪市の力が相対的にも絶対的にも年々、低下しつつあるのです。

 

それを1969年(昭和44年)の時点で早くも察知していた人がいました。

 

当時の大阪市の中馬馨市長です。

 

大阪市はあまりにも狭い、市街地もどんどん市外に広がりつつある。

 

これでは世界に太刀打ちできない!

 

ならば、大阪市と隣接する10市を取り込んで、市域を拡張すればいいのではないかと。

 

大大阪時代の再現かもしれませんね。

 

面積も、2倍から4倍になります。

 

最大、ベルリンくらいの広さになる予定でした。

 

豊中市や吹田市などは合意していたとも聞いています。

 

当時、このニュースを知って、ぼくは大阪市が広がるんやとびっくりしたのを覚えています。

 

この構想ではしかし、大阪府が大阪市によって南北に分断されることが府側から指摘され、さらに大阪万博の目前とあって、結局、うやむやに……。

 

その後、2000年になって、大阪府の太田房江知事が、府と市を合併する大阪新都構想を打ち出しました。

 

これに対し、大阪市の磯村隆文市長が猛反発し、大阪市を大阪府から独立させ、政令指定都市よりも権限のあるスーパー指定都市(特別市)にする構想を発表しました。

 

完全に大阪市vs大阪府のバトルですね!!

 

こうしたいきさつがあり、今回、大阪市の橋下徹市長が大阪都構想をぶち上げたのです。

 

ぼくは、大阪市を廃止し、特別区を設置するのには反対です。

 

だから、住民投票には反対票を投じます。

 

政令指定都市という大きな権限と財源を投げ出す必要はないと考えるからです。

 

堺市や熊本市、岡山市、静岡市などが政令指定都市にならんがためにいかに苦労してきたか。

 

それほど政令指定都市というのは、大都市にとっては魅力的なものなのでしょう。

 

だから大阪市もその「特権」をしっかり抱えたまま、じり貧状態から脱し、強くなっていけばいいと思うのです。

 

別に強くならなくても、世界と競わなくても、暮らしやすい街になったらええやん~と思っている人もいるでしょうね。

 

しかし、世界に通用する大都市の「土俵」を持たないとこのまま衰退していくし、まずは経済的にきちんと基盤を築かないと、人が集まらないし、文化も育たないと思います。

 

大昔、江戸の元禄期や大大阪の時代、あれほど大阪が文化的にも栄えたのはやはり経済的に潤い、住民に「ゆとり」があったからこそ、多くのお金と人材が集まり、貴重な「文化遺産」を残せたのです。

 

NHKの朝ドラ『マッサン』ではありませんが、本格的なジャパニーズ・ウイスキーが首都の東京ではなく、大阪で生まれたのは、当時の大阪には優れた人材を呼び寄せるパワーがあったことに他なりません。

 

都市格がちゃんと大阪にあったんです!

 

もちろん、21世紀の現在、経済ばかりを見ていてもだめかもしれません。

 

文化をうまく「都市興し」に生かす手もあります。

 

大英帝国の原動力として重工業を偏重し、戦後は見る影もなく衰退していた英国スコットランドのグラスゴーが今、文化をメーンにして再生しています。

 

フランスの港町マルセイユもしかり。

 

ぼくはこの目で元気な街並みをしかと見てきました。

 

でも、最低限、経済的な基盤がないと持ちこたえません。

 

大阪も、単に東京に負けたらあかんという視点ではなく、大阪独自の再生案を早く見出す必要があるでしょうね。

 

そのひとつが今回の大阪都構想でした。

 

本来は大阪市と近隣の市も巻き込み、すべてが特別市になるという、まさに東京都をまねたものでした。

 

特別市にしなければ、ぼくはこの構想を非常に魅力的に思えました。

 

ところが、政令指定都市になった堺市がそっぽを向いたことで(2013年の市長選)で、今や大阪市の解体案になってしまったのが残念です。

 

橋下市長は、本来の構想が挫折し、もう一度見直すべしと思っていたかもしれませんが、もう今さら引き返すことができない~という状態に陥っているのでは??

 

何か意地で突き進んでいるような気がしてなりません。

 

で、ぼくがずっと心の中で思っている大阪再生の理想プランを明かします。

 

大阪市は紛れもなく大阪府の中心です。

 

歴史や過去の実績、そして現状からして、誰も異論はないと思います。

 

だから大阪市が大阪を、さらに関西、西日本を引っぱっていかないと!

 

まずは政令指定都市のまま、市域を拡張すればいいのではないかと思うのです。

 

世界の大都市に引けをとらない「グレーター大阪(広域大阪)」です。

 

「大阪市」の名称を入れると、ややこしくなりそうなので、別に入れなくてもいいかも。

 

守口市なら、グレーター大阪の守口エリア(あるいは守口区)。

 

大阪市西区なら、グレーター大阪西区。

 

この場合の「区」は、従来の「行政区」です。

 

グレーター大阪に入らない、泉南郡なら、これまで通り、大阪府泉南郡です。

 

1969年の中馬市長の案と似ているかもしれませんね。

 

隣接する市の中には政令指定都市に組み入れられることにメリットを感じるところも多いのではないでしょうかね。

 

堺市はちょっと別です。

 

同じ政令指定都市とあって、「グレーター大阪」に入るのは抵抗があるでしょう。

 

でも、この時代、いがみ合っている場合とちゃうと思います。

 

大同団結して、オール大阪で考えるべき時期に来ています。

 

堺市中区なら、グレーター大阪堺中区といった具合かな。

 

行政サービスがどうなるのか、細部のことはわかりません。

 

あくまでも理想像です。

 

今回の住民投票で「賛成」が過半数を占めれば、もう後戻りができないので、ぼくのプランも消えてしまいます(笑)

 

そういうこともあって、「反対」なのです。

 

選択肢がひとつ消えてしまいますからね。

 

それにしても、大阪市民だけの投票というのが解せません。

 

間違いなく大阪府全体に関わる問題なのだから、大阪市民以外の府民にも投票してもらいたかったです。

 

個人攻撃ではありませんが、橋下さんの傲慢さ、独善的(独裁的)、何でも勝ち負けで判断する幼稚さ、上目線、弱者いじめ、パワハラ的資質、そして文化をないがしろにする姿勢などはほんまに、ほんまに大嫌いです。

 

めちゃ怖いです!!!

 

しかし発言力と行動力の凄さには一目置いています。

 

今の時代、パワフルに、かつ迅速に事を動かす人が求められていますから。

 

だから、今回の住民投票では、頭から「橋下嫌い」「反維新」を訴えている人とは、ぼくはちょっと違います。

 

これまでの橋下さんの「実績」を踏まえ、何でもかんでも反対するのはどうかなと思うのです。

 

反対派の人は、全てにおいて反対しているのが、ちょっと不気味です。

 

シロクロはっきりしすぎ!

 

見違えるほどきれいになった地下鉄のトイレなど、ちゃんとやってはるところもあり、それを認めるのが大人です(エラそうなことを言うてしもうた!)

 

特別区設置協定書(説明パンフレット)で書かれている、港湾や大型施設、病院、公園などは大阪府に一括する方が効率的に思えますし。

 

是々非々。

 

これがぼくのスタンスです。

 

以上、世界的な大都市の現状、これまでの大阪再生案などを含め、あれこれと綴ってきました。

 

それもこれも郷土、大阪を愛しているがゆえのことです。

 

ゆめゆめ大阪原理主義者ではありませんので~(笑)

 

ご理解ください。

-その他, エッセー, 大阪, 日記

執筆者:


  1. ピコーズ 林 より:

    武部 様

    ご無沙汰しています。
    都構想の件大変共感しています。
    前の東区より中央区も抵抗が有りました。(今も)
    大阪市民で58年いますが、大阪市が無くなるのは考えられない事でした。
    ホットしています。

    橋下市長が、今回の都構想を提案した事が、住民&官にいろんな意味で意識を持たせた事が、
    彼の功績だとは思いますが!

    • admin より:

      お久しぶりです。
      投稿、ありがとうございます。「都構想」の特別区設置がずっと引っかかっていました。
      時代錯誤です。
      政令指定都市をの「特権」を放棄するのはもったいない。これらかの大阪が再生するには、まずは市域を大きくする必要があると思っています。
      いずれにせよ、これからですね!!

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。