武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

南インド紀行(2015.2.14~27)

南インド紀行(12)~ターミルの子供たち

投稿日:2015年3月7日 更新日:

ラーメシュワラムのホテルで昼寝中にノックがしたので開けると、フロントにいたホテルマンでした。

 

「何か困ったことないですか?」

 

「退屈していませんか?」

 

「ガイドをつけましょうか?」

 

いきなり質問攻めだったので、びっくりしました。

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タミール人はすごく人なつっこいです。

 

これまでインド人と言えば、北部のアーリア系の人たちをイメージしていたので、黒っぽいタミール人を眼の前で見た時、「全然、ちゃうわ~」と認識を新たにしました。

 

彼らは先住民のドラヴィダ系です。

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通説によると、ドラヴィダ系の人たちがインド北西部でインダス文明を興したといわれています。

 

それが西方から侵入してきたアーリア系の人たちに支配され、どんどん南に押しやられていったというのです。

 

ケララ州の人たちもそうです。

 

南インドの住人はドラヴィダ系と言っても差し支えないと思います。

 

ドラヴィダ系の土着信仰と新参者アーリア系の宗教が融合して、ヒンドゥ教が生まれたらしいです。

 

言語的にも、アーリア系の主言語ヒンドゥ語とタミール語は全く異なるようで、タミール人のほとんどはヒンドゥ語を解しません。

 

だから北インドの人と話す場合、共通語の英語で喋ってはります。

 

公共の場では、公用語のヒンドゥ語、地元の言葉タミール語、そして英語と3つの言語で表記されています。

 

表記もそうです。

 

マドゥライ・ジャンクション駅の表示は、真ん中に英語、上がタミール語で、下がヒンドゥ語でした。

 

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英語が明記されているケースが多く、日本人にはありがたいです。

 

ただし、バスの行き先表記はみなタミール語でしたが……(+o+)

 

 

タミール人はインド全体からみれば、少数派ですが、それでも7000万人以上います。

 

ヨーロッパなら、イギリス、フランス、ドイツを抜いて大国レベルです。

 

タミール人は、南インドという風土が影響しているのか、概して穏やか。

 

ぼくが日陰で腰をおろしていると、住民がニコニコしながら話しかけてきます。

 

大人は「ガイドするよ」とか言って、商売気丸出しのケースが多いのですが、子供や学生はみな純朴です。

 

日本人だとわかると、日本のことをあれこれと質問してくる。

 

教育レベルは相当高く、日常会話の英語ならべらべら喋ります。

 

結構、日本語を学んでいる学生がいて、「こんにちは」「ありがとう」「あなたの仕事は何ですか」といったふうに知っている日本語をバンバンぶつけてきます。

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街中の人でも、英語の単語を並べれば、大概、通じます。

 

でもインド人特有の発音とイントネーション、さらに大阪人顔負けの早口とあって、半分ほどしか理解できませんが~(((^^;)

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学生は理科系が多いみたい。

 

ぼくが知り合った学生はエンジニア志望が圧倒的に多かった。

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今や世界に冠たるIT大国。

 

自分の力で国をさらに発展させたい、そんな意欲がひしひしと感じられました。

 

算術は、思っていた通り、かなり長けています。

 

小学生に3ケタの掛け算をやらせたら、瞬時に回答を導いたのには吃驚!!!

 

計算の苦手なぼくには、神サンのように映りました。

 

先日、カニャークマリ近郊の集落に出かけたとき、村の子どもたちと知り会いました。

 

みな、好奇心から眼をギラギラさせていました。

 

日本のアニメが大好きみたい。

 

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頻繁に「ノープロブレム」という言葉を発するぼくに、ひとりの男の子がこう言いました。

 

「ノープロブレムは、『問題ない』ではなく、実は大いに『問題あり』なんですよ」と~。

 

わ~っ、インドの子供からこんなことを言われるとは思わなかった(笑)

 

それ以来、「ノープロブレム」の使用を自粛しようと努めています~(#^.^#)

 

-南インド紀行(2015.2.14~27)

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。