武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

映画

話題の大阪映画~『プリンセス トヨトミ』

投稿日:2011年5月27日 更新日:

大阪を舞台にしたベストセラー小説の映画化です。
プリンセストヨトミ(2)
 (C)2011 フジテレビジョン 関西テレビ放送 東宝
7月8日金曜日、午後4時、大阪が全停止――。
冒頭から意表を突かれる。
荒唐無稽と言おうか、何ともインパクトのある大阪映画だ。
奇想天外な小説を次々と世に放つ万城目学の原作を忠実に映像に焼き付けた。
大阪にやって来た会計検査院の調査官3人が「OJO(大阪城趾整備機構)」という財団法人を調べるうちに、あっと驚く事実が浮き彫りになる。
豊臣家崩壊後400年間、ある大切なモノを大阪人が死守しており、大阪城の地下にも何やら秘密が隠されているらしい。
真相に迫る国家権力に立ち向かう市井の庶民。
物語の底流をなす反権力意識はいかにも大阪らしい。
それを太閤びいきにかこつけているのはちと短絡的だが、いじらしいまでの浪花っ子の心意気と思えば、納得できよう。
何事も合理的な東京の役人を、情の厚い大阪の住人がぬらりくらりと翻弄させるところがミソ。
この対立の構図がチーフ調査官、松平(堤真一)と空堀商店街(大阪市中央区)のお好み焼き屋の主人、真田(中井貴一)との駆け引きに集約される。
厳格な松平を堤が無表情な演技で際立たせるが、関西生まれで大阪弁を流暢に話せる俳優だけに、むしろこの人に真田役を演じてほしかった。
プリンセストヨトミ(3)
   (C)2011 フジテレビジョン 関西テレビ放送 東宝
闊達で男勝りの茶子(沢木ルカ)はアニメ「じゃりン子チエ」を彷彿とさせ、妙に懐かしい。
大阪の少女の典型例だ。
沢木の突き抜けた演技は好感が持てる。
新世界、道頓堀、中之島……。
大阪名所のオンパレード。
いささか定番すぎたが、無人と化した不気味な街、5千人のエキストラを動員した府庁前のシーンは映像として面白い。
そんなアホなことあるかい。
でも舞台が大阪だからこそ、おかしくも話が成立する。
そう思いつつ、大阪人のぼくは真剣に見入ってしまった。
監督は鈴木雅之。
1時間59分。
★★★
☆28日から全国ロードショー
(日本経済新聞2011年5月27日夕刊『シネマ万華鏡』。ブログへの掲載を許諾済み。無断転載禁止)

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。