武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

南インド・ケララ州紀行(2026年4月3日~13日) 日記

(3日目)南インド・ケララ州紀行

投稿日:2026年4月14日 更新日:

旅の3日目は穏やか日曜日で、水上メトロ(公営の渡船)とリクシャーを利用し、島巡りを満喫しました。

ちょっと違和感を覚えたのは騒音です。

ホテルのフロントマンに訊くと、コチ(コーチン)市の一部の区域で選挙(市会議員の補選?)の投票があったみたい。

なるほど、公民館に入っていく住民を見たのは投票やったんや!

インド南西部のケララ州はLDFという左翼民主戦線の基盤で、州の首相も議会も押さえているようです。

LDFをグーグルで調べたら、何とインド共産党マルクス主義派の左翼政党でした。

えっ、マルクス主義!!

学生運動が盛んだった昭和のあの頃によく耳にした懐かしい言葉……、日本ではもはや死語になっていますね。

産業の近代化、インフラ開発、教育・医療・福祉の向上を目指しており、それが功を奏したのか、他のインドの州に比べて町並みがはるかにクリーンで、あか抜けています。

道路もほぼ舗装されているみたい。

だから、埃っぽくないんですね。

インドの象徴的な牛(野良牛)を見かけないのもそうなのかな。

代わりに野良ヤギをちょくちょく見かけましたが〜(笑)

ひと言で言えば、あまりインドっぽくないです。

識字率もほぼ100%で、教育水準が非常に高く、インドの宇宙・航空産業を担っているとか。

まさに優等生です!

街を歩くと、社会主義のシンボルマーク「鎌と槌(ハンマー)」がやたらと目立ち、リクシャーをチャーターした街宣活動も目にしました。

数人にイラン戦争について訊くと、みなトランプの批判ばかり。

「トランプは民主主義の敵やわ」

「あの男、自滅しまっせ」

「石油目当ての侵略戦争ですがな」……。

反米感情がめちゃめちゃ強そう。

グーグルで、日本語とマラヤーラム語(ケララ州の主要言語)の翻訳ができるので、便利この上ない。

いやぁ~、なかなかオモロイ土地柄ですわ。

   ☆    ☆    ☆    ☆
  
この日、フォート・コーチンの船着き場である家族と出会えました。

待合室で座っていたら、隣の中年男性からわかりやすい英語で声をかけられたんです。

「ひょっとしたら、日本の方ですか?」

「はい、そうですよ。何でわかったんですか?」

「若い時、福岡で働いてましたから」

このあと4人の息子さんを紹介してくれはりました。

上の2人が社会人で、父親が経営する香辛料の会社を手伝っているそう。

下の2人は共に電子工学を専攻している大学生。

向こうの席に奥さんと1人の可愛い娘さんが座っていました。

つまり5人の子のパパさん。

この日、近郊の町から家族そろって遊びに来たとか。

息子さんたちから日本のアニメ事情について質問攻めに遭い、拙い英語で必死になって受け答えしていたんですが、そのうち次男の子が何やら小型の翻訳機を取り出し、現地のマラヤーラム語と日本語でスムーズにやり取りできました。

えらい時代になったもんです。

インドの公用語はヒンドゥー語と英語ですが、ヒンドゥー語は北部で話されており、南部では州の言葉が日常語です。

ケララ州ではマラヤーラム語。

街の表記は、たいがい一番上がマラヤーラム語、その下がヒンドゥー語、一番下が英語になっています。

「インドはすごく発展してきてるね」

ぼくがそう言うと、4人はリップサービスを添えて次々とこんな言葉を。

「もっと国を発展させたいです」

「日本のように豊かな国を目指してます」

「しっかり勉強して国のために尽くしたい」

「アニメを日本語で見たいので、日本語を学ぼうかな」

彼らから迸るエネルギーがビンビン伝わってきました。

この国の若者はホンマ、熱意があります。

インドはこれからますます伸びていくなぁ〜と改めて実感した次第。

別れ際、浮世絵の絵葉書をプレゼントしたら、長男が「お返しにこれ。ぼくもビートルズ好きですねん」。

見ると、「アビーロード」のジャケット写真でした。

ぼくがビートルズ帽を被っているのを見たからでしょう。

最後に、翻訳機を使ってパパさんに「ええ息子さんばかりで、幸せですね」と伝えました。

すると、「すべてアッラーの思し召しです」。

イスラム教徒のご家族やったんや。

受け取った名刺を見たら、ムハンマドさん。

心がほっこりしました。

☆    ☆    ☆    ☆

この日は昼下がりから気温がどんどん上昇し、無性に冷えた白ワインが欲しくなり、夕方、昨夜訪れたホテルのバーを再訪しました。

食券売り場で、白ワインをオーダーしたら、「ワインはポートワインしかありませんねん」。

えっ、何でよりによってポートワインやねん!?

インド人は甘いもの好きやからかな……。

仕方なく缶ビールで我慢しました。

フロアにも4人の店員さんがおり、代わる代わる「もう1杯、どう?」と聞きに来るので、ゆっくり飲んでられまへんがな〜(汗)

-南インド・ケララ州紀行(2026年4月3日~13日), , 日記

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。