武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

日記

新型インフルエンザ、冷静になりましょう~!!

投稿日:2009年5月2日 更新日:

きのうから5月です。新緑が眼にまばゆくなってきました~♪
そんななか、新型インフルエンザが世界的にひろがってきています。たしかにひじょうに不気味です。しかし、かといって、過敏反応してビビッてばかりしていたら、なにもできません。社会が機能停止状態に陥ります。そのほうが怖いです。
国内で感染者が出るのは当然と受け止め、いかに冷静に対処するか、それに尽きると思います。
新型といえども、もともと人間(トリも)由来のウイルスなのだから、完全に新型ウイルスとはちゃいます。たとえ感染しても、栄養状態のいい日本人なら、ほとんど回復するのではないでしょうか。かつて新聞社で科学記者をしていたぼくの客観的な見方です。甘いかな~?
WHO(世界保健機関)や国、関係機関が万全の体制を敷くのは当たり前ですが、マスコミの報道が過熱しすぎているような気がしてなりません。「冷静に対処を!」と報じているにもかかわらず、国内での感染者第1号をめぐって異常な取材合戦が繰り広げられています。
感染の疑いのある人を、あたかも犯罪者のように捉えている。アカン、アカン。そんなん人権蹂躙や~!
かく言うぼくも、現役の記者時代は特ダネ意識が働き、おなじように狭い視野で取材に没頭していたかもしれませんが……。
今回のインフルエンザの発生地とされているメキシコの現状はどうなんでしょうかね。先ほど、現地に滞在している知人から最新のリポートが届きました。ちょっと長いですが、全文を紹介しときます。参考にしてください。*原文を尊重し、「豚インフルエンザ」の名称をそのまま使わせてもらいます。
「今、豚インフルエンザのニュースが世界中を飛び交っています。私は一番死者の多く出ているメキシコ・シティーの中心部セントロに住んでいます。今では朝起きたらネットでニュースをチェックすることから1日が始まります。どんどん深刻さを増すニュースを見たあと町に出ると、そのあまりの乖離にとまどってしまいます。
町はいつもと変わらず、たくさんの露天が出て野菜や果物、帽子や洋服、文房具などを売っています。ピラタ(海賊盤のCD)を売っている店は大音量の音楽を流しています。市場も多くの人でにぎわっていますし、立派なレストランは閉まっていますが、食堂や道端のタコス屋さんは人であふれています。
マスクをかけている人も3割くらいであごの下にかけている人も多いです。メキシコは日中は30度を超すことも多いので、ずっと口をふさいでいるのはちょっとつらいものがあります。それにしてもこのマスク、青色の紙でできていてとてもちゃっちいのです。こんなもので予防効果があるのかなと疑いたくなるような代物です。
地下鉄の駅で配布しているというので行ってみましたが、誰もいません。仕方なく薬屋を3軒まわりましたが、すべて売り切れでした。でも私のアパートの門番さんがどこからか、たくさんもらってきてくれてやっとゲットできました。
豚インフルエンザが初めてメキシコで公表されたのは4月23日の夜11時、テレビを通じて緊急発表され、68人の死者、1004人の感染の疑いのある人がいるということでした。しかし、この死者の数字もいまでは豚インフルエンザだと確認されたものではなく、疑わしい人も混ざった数字で、いまでは本当は20人だった、いや、7人だったなど情報は二転三転しています。
緊急発表の次の日の24日から学校や大学が休校になり、映画館も閉館、コンサート、集会などもすべて中止となりました。サッカーの試合も観客を入れずに行われました。私の通う大学も、今は一応5月の6日まで休みということですが、一方では無期限だという報道もあり、どっちなのかはよくわかりません。
そして今では少しずつ死者や感染者の数も増え続け、世界に感染が広がっています。メキシコ政府は薬も十分あるし、パニックに陥らないようにと呼びかけ、感染予防を勧めています。うがい、手洗い、マスク着用、そしてキスをしないこと、とあります。これ(キス)はいかにもメキシコらしいです。
しかし、町を見ている限りにおいては感染予防は徹底されているとは言いがたい状態です。マスクをしている人の割合の低さをみても危機感があまり感じられません。メキシコ人の持つ楽天性なのかもしれませんがノーテンキなひとが多いという気がします。
テレビもやっと世界保健機関の警戒レベルが「フェーズ4」にひきあげられたころから特別番組を放送するようになりました。しかし、そんなに長い時間ではありません。日本では連日すべてのワイドショーが豚インフルエンザの話題を取り上げ、マスクのつけ方まで伝授していると聞き、「それはあまりにやりすぎでしょう」とちょっとあきれてしまいました。
逆にメキシコではあまりに情報提供が遅すぎますし、情報が各省庁で違っていたりと、全面的に信用できるものではないのが困ったところで、国民は「政府は何か隠しているのではないか」という疑いを持っています。
「フェーズ4」になった段階で私の友人で、公費で留学している人たち、特に官公庁から派遣されてきた人たちはすぐに帰国しなければならなくなり、別れの挨拶もそこそこに飛行機に乗りました。また、こちらの日本企業に勤めている人たちの家族も飛行機の便が取れしだい、次々帰国しました。
私の友人も子供をつれて帰りましたが、彼女が「このまま帰ってもバイキン扱いだからね」とさびしそうに言った言葉が忘れられません。そういえばメキシコからの初めての帰国便のアエロメヒコが成田に着いたときも、ものものしい警戒態勢だったそうですね。
私の家族や友人もまるでメキシコはバイキンだらけになっていると思っているかのように心配して、何度も何度も連絡をしてきます。それはやはり日本の報道があまりに大げさすぎて、メキシコの実態とはかけ離れているからでしょう。家族を安心させるためにメキシコの現状や日本大使館の対応などを説明しながら不安感を払拭するのに苦心惨憺です。
これから事態はどのようになっていくかはまったくわかりませんが、家からでられない日が相当続くことでしょうから、静かに勉強することにしました。そして学校が始まるときには辞書なしで新聞が読めるようになっていれればいいなー、なんて思っている私です」

-日記

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。