古巣新聞社の科学部時代、東京本社に優れた大先輩記者がいました。
御年、82歳の馬場錬成さん。
物腰が柔らかく、非常にリベラルで、絵に描いたようなジェントルマンです。
一緒に仕事をしたことはほとんどなかったのですが、どういうわけか可愛がってもらい、今ではFB友達になっています(笑)。
新聞社を定年退職後、東京理科大学大学院の教授、早稲田大学客員教授、中国総合研究センター長などいろんな要職を歴任し、現在、21世紀構想研究会理事長を務めておられます。
その馬場さんが渾身のノンフィクション大作『沖縄返還と密使・密約外交—宰相佐藤栄作、最後の一年』(日本評論社)を上梓され、1冊、謹呈していただきました。
先輩、改めておめでとうございます!
今年が沖縄返還50年とあって、タイムリーな出版です。
当時、社会部の事件記者だった馬場さんは、沖縄返還反対闘争だけでなく、国会での論争も取材しておられました。
その時の取材記録、新聞記事、数多くの証言録、資料、日記、著書・論文などに残された事実を積み重ねて書き上げたのが本書です。
〈まえがき〉には、胸に突き刺さる文章が散りばめられています。
記者魂、健在です!
「秘密の扉をこじ開けて国民に伝えることが、新聞記者の役割であると確信しながら書き進めた」
「『第四の権力』とまでいわれたメディアの非力ぶりはいまや目を覆うばかりであり、その有様を読者に伝えたいとの思いもあった」
「国会での多数をいいことに、政治倫理を踏みにじって政治権力をふるった佐藤政権の負の遺産が今なお根を張っていることを告発するために書いた」
ページを繰るのが楽しみです。