武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

映画

韓国の骨太な社会派ドキュメンタリー映画『共犯者たち』&『スパイネーション 自白』

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こんな骨太なジャーナリストがお隣の韓国にいるとは知らなかった。

政権批判の報道をしたことで不当解雇された公営放送局MBCのプロデューサー、チェ・スンホさんが独立メディア「ニュース打破」を立ち上げ、政権に寄り添って〈広報機関〉と化した放送局に容赦なくメスを入れていきます。

この人がメガホンを取り、その様子をあますことなく伝える社会派ドキュメンタリー映画『共犯者たち』が大阪・十三の第七藝術劇場で公開中です。

脱北者を「北朝鮮のスパイ」として拘束するおぞましい現実にチェ・スンホさんが迫る『スパイネーション 自白』も上映されています。

『華氏119』のマイケル・ムーアも真っ青になるほどの不屈の精神で、アポなし突撃取材を敢行し、政権のメディア介入や言論弾圧の実態を暴いていく過程が何ともスリリング。

この人、1年前にMBCに復職し、何と社長に選任されました!!

『タクシー運転手 約束は海を越えて』や『1987、ある闘いの真実』などジャーナリズムの本質を突く映画を連発している韓国ですが、日本ではこの手の映画が皆目作られませんね。

マスコミ関係者、メディア研究者、社会派映画に関心のある人は必見ですよ。

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。