こんな大阪映画もええですね~(^^)/
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「じゃりン子チエ」や「プリンセス・トヨトミ」を見ればわかるが、大阪ドラマに登場する女の子はみなパワフルで、ひと癖もふた癖もある。
本作の主人公もその典型例。
真っ直ぐな子供の視線でグイグイ物語を引っ張っていく。
名子役として注目される芦田愛菜扮する小学3年生の琴子、通称こっこ。この子のキャラクターをどう受け止めるかで作品の評価が分かれるかもしれない。
「普通」が大嫌いで、他者と違うことに価値観を見出す。
絵に描いたような幸せを疎ましく感じ、孤独に憧れる。
それに人一倍、好奇心が強い。
オモロイ子だ。
友達もユニーク。
吃音の男児、ベトナム難民の子、不整脈で倒れた在日コリアンの少年……。
彼らがカッコよく映るのだ。
差別ではなく、違いを認める素なる気持ちに好感を持てる。
ただ、人物描写がややくどい。
家族は8人。
狭い公団住宅で3世代が一緒に暮らしている。
中華料理店さながら、回転式の真紅の円卓を囲んでの食事風景が実に楽しい。
大阪弁で丁々発止のやり取りが飛び交う和やかな団らん。
あゝ、懐かしい。
兵庫県西宮市生まれの芦田が放つ台詞には全く違和感がない。
「うるさい、ボケ!」と毒気づいた時には親近感すら覚えた。
八嶋智人(父親)、羽野晶紀(母親)、いしだあゆみ(祖母)ら関西勢が脇を固め、言葉の面をクリアできて安堵。
インテリ肌の祖父(平幹二朗)から教えられた英語「イマジン」の意味がこっこの心に響いた。
それが映画のテーマとなる。
次々と起こる刺激的な出来事を絡ませ、少女の成長する姿を紡ぎ出す。
原作は作家、西加奈子の同名小説。
細やかな演出に定評のある行定勲監督が芦田の持ち味をうまく生かし、キラキラ輝く子供の世界観を忠実に映像化した。
ほほ笑ましい大阪映画だった。
1時間53分
★★★(見応えあり)
☆21日より全国公開
(日本経済新聞2014年6月20日夕刊『シネマ万華鏡』。ブログへの掲載を許諾済み。無断転載禁止)