武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

ニース&コルシカ島紀行(2018年9月2日~14日)

ニース&コルシカ島紀行(5)9月6日~コルシカ島ってこんなところ

投稿日:2018年9月16日 更新日:

コルシカ島は思っていた通り、独特な風土でした。

フランスなのに、かなりイタリアっぽい。

1769年にフランス領になるまで、ピサやジェノバのイタリア諸侯の領土だったので、納得できます。

固有のコルシカ語もありますが、島民はみなフランス語を喋ってはります。

「コルシカ(Corsica)」というのはコルシカ語表記で、フランス語では「コルス(Corse)」になります。

大きさは広島県ほど、人口は約30万人。

コルシカ旗は、顔の黒いムーア人の横顔をあしらったもので、インパクト度からして絶対に目を惹き付けられます~💡

ムーア人は、6世紀から11世紀にかけてコルシカ島をはじめ地中海沿岸のヨーロッパ諸国を占領したイスラム教徒のこと。

旗の由来は諸説ふんぷんです。

これ、ムーア人を打ち破ったスペイン東部アラゴン王国の紋章で、いわば「戦利品」を国のシンボルにしていました。

それをコルシカが借用したというのです。

こんな説もあります。

約500年間、異教徒の支配に耐え抜いた先祖の気概に敬意を表し、あえて「敵側」の顔をデザインに採り入れた…………。

この発想がすごい❗

コルシカ島の南に浮かぶイタリアのサルディーニャ島の旗も同じものです。

反権威意識と自立心が強いのか、長年、フランスからの独立運動が続き、1970年代には過激分子によるテロ活動がしばしばニュース沙汰になっていました。

「独立」の文字が気になります……((+_+))

今ではそういう動きは沈静化していますが、反フランス意識は根強いみたいです。

何せ、フランス本土の人から「辺境の民」として蔑まされてきた苦い歴史もありますから。

その意味では、ケルト色の強いフランス北西部ブルターニュとよく似ていますね。

イギリス(UK)ではスコットランドやウェールズ、スペインではバスク、ガリシア、カタルーニャ……。

民族的に「中央」と異なり、固有の文化、歴史にアイデンティティーを求める、そんな「地域」とそこの住民にぼくはたまらなく惹かれます。

昨日から滞在しているアジャクシオは県庁所在地で、島最大の街です。

といっても、人口はたかだか6万人程度。

しかし港にはフランス、イタリアからのフェリーの他、豪華客船も頻繁に入港しており、観光客が非常に多いです。

だから、コスモポリタン的な様相を呈しています。

海水がきれいなので、わざわざ泳ぎだけを目的に来る人もいるそうです。

そして、ここはナポレオン・ボナパルト(1769~1821年)の生誕地。

生家は観光スポットになっています。

反フランス感情の強い地から、フランスの英雄が生まれた。

何というパラドックス~❗

ロシア嫌いが多いジョージア(グルジア)生まれのスターリンが、後にロシアを軸にしたソ連の指導者になったのとよく似てますね。

島に来てまだ2日目ですが、思うがままに雑感を書かせてもらいました。

-ニース&コルシカ島紀行(2018年9月2日~14日)

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。