加山雄三……。
74歳にして、現役でバリバリ働いてはりますね。
若い人には想像もできないと思いますが、半世紀前、この人、ほんまにカッコよかったです。
人気もすごかった!
それを象徴したのが映画『若大将シリーズ』でした。
以前、某紙に書いたエッセーです。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ボタンダウンのシャツに細めのネクタイ……。
清楚なアイビー・ルックに身を包んだ加山雄三が爽やかに銀幕に現れた。
1961年7月に公開された『大学の若大将』
以降、71年1月の『若大将対青大将』まで17作にわたる若大将シリーズは、高度経済成長の申し子として60年代を軽やかに駆け抜けた。
東京・麻布のすき焼き屋が実家のノンポリ大学生、そのハンサムな青年が若大将だ。
本名は田沼雄一。
楽天的で、正義感が強く、情にもろい。
スキー、水泳、サッカーとスポーツ万能。
歌もギターもうまい。
学業は今ひとつだが、絵に描いたような好青年である。
50年代後半にブームを巻き起こした太陽族の斜に構えた反抗的な姿勢がもはや崩れ、石原裕次郎に継ぐ新しいスターが望まれていた。
そんな時期に若大将=加山雄三が登場した。
上からも下からも期待される人物。
まさに上昇街道をばく進中の日本社会が求めていたヒーローだった。
ストーリーはいたって簡単。
若大将が美人の澄子(星由里子)と出会って恋に落ちるが、大企業の重役のドラ息子、青大将(田中邦衛)が横恋慕したりして、2人の間にヒビが入る。
しかし仲直りし、スポーツ大会で優勝するというハッピーエンド。
毎回、このパターン。
マンネリの極みだ。
しかし、6作目『エレキの若大将』(65年)の主題歌『君といつまでも』が350万枚の超ミリオンセラーを記録するなど、自ら手がけた歌とリンクさせ、恋とスポーツをテーマにした歌謡映画として定着した。
スイスやタヒチなどでの海外ロケも魅力のひとつだった。
いつしか若大将は日本全国を席巻していた。
ところが、12作目『リオの若大将』(68年)のころから失速し始めた。
実際のキャンパスでは学生運動が吹き荒れるようになり、映画の世界があまりに浮世離れしていたからだ。
そこで次作の『フレッシュマン若大将』(69年)以降、主人公をサラリーマンにしたが、高度成長の行き詰まりと相まって、会社で苦悶する若大将の姿があった。
バブル崩壊から立ち直ってきた現在、若大将のような人物が再び求められるのだろうか。
いや、混迷の時代だけに、人間的な親しみを覚える個性豊かな青大将の方が世間受けするような気がするのだが……。
高度成長期を駆け抜けた若大将~!!
投稿日:2011年10月21日 更新日:
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