武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

南インド・ケララ州紀行(2026年4月3日~13日) 日記

(7日目)南インド・ケララ州紀行

投稿日:

旅の7日目にして、ようやく最大の目的を果たしました!!

今朝、コーリコッド(カリカット)からバスに揺られ、北約16キロのカッパド・ビーチ(Kappad Beach)にやって来ました。

ここは世界史でおなじみ、ヴァスコ・ダ・ガマ(1469~1524年)が528年前の1498年5月20日に上陸したところです。

アフリカの喜望峰を経由する「インド航路」を開拓したポルトガルの有名な航海者+探検家ですね。

ヨーロッパ人による初のインド上陸。

それによってポルトガルはスパイスの利権を得て、海洋帝国の礎を築きました。

いわば、帝国主義の先駆けとなる事案ですが、大航海時代のこのヒーローになぜかロマンを感じてしまうのです。

ぼくは還暦の記念にインド最南端のカニャークマリ(Kanyakumari、コモリン岬)でインド洋に向かって「イェーッ 」と絶叫し、その2年後、タミル・ナードゥ州の聖地マハーバリプラム(Mahabalipuram)の海岸寺院からベンガル湾に向かって「イェーッ 」と叫んできました。

インド洋⇒ベンガル湾ときたら、あとはアラビア海しかありませんがな。

で、ヴァスコ・ダ・ガマの上陸地点で叫ぼうと心に決めたんです。

なぜかチェ・ゲバラのあの肖像画が描かれたバス停で降りると、ビーチ沿いに簡素な公園があるだけで、茫漠たるアラビア海の他には何もありません。

ヴァスコ・ダ・ガマが上陸したところは長さ約80メートルほどの白砂のビーチ。

強烈な日差しが降り注ぐ中、さざ波の音が何とも耳に優しい。

穏やか、穏やか。

てっきり観光地になっていると思いきや、ぼく以外に誰もいません。

まぁ、その方がやりやすいです(笑)

で、即、実行しました。

スマホを自撮り+タイマー撮影にセットし、アラビア海に向かって雄叫び。

「イェーッ〜!!!!!!」

アフリカまで届きそうなくらい声がよぉ通りましたわ。

次にスマホに向かって叫んだら、道路を隔てた向かいの家からおばちゃんが「何事ですねん」と出てきはりました。

「ここで叫ぶために日本から来ましてん」
マラヤーラム語に翻訳したスマホのメッセージを見せると、完全に理解不能な顔つきに。

〈こんな人と関わったらアカンわ〉

明らかにそんな感じで、そそくさとUターンしはりましたわ(笑)

このビーチから100メートルほど内陸に入ったところに上陸のモニュメントがありました。

ヴァスコ・ダ・ガマの肖像画もなく、白亜の柱に英語で上陸したことが刻んであるだけ。

そのモニュメントに一礼し、「叫ばせてもらいましたで」とかの御仁に報告しました。

ともあれ、《インド絶叫3部作》の最終章を成し遂げ、満足、満足。

こんな辺鄙なとこまでやって来てホンマによかった、よかった〜悦に浸りました。

   ☆    ☆    ☆    ☆

ヴァスコ・ダ・ガマ上陸地でのミッションを終えてから、バスでコーリコッドへ帰り、ホテルでシャワーを浴びた直後、爆睡。

昼下がりの2時間、よぉ寝ましたわ。

シエスタ(午睡)ですね。

目覚めると、また無性に冷たいビールが欲しくなり、ダメ元でフロントのお兄さんに「ドライ・デー(禁酒日)やけど、どこかお酒飲めるバー、知らへん 」と訊くと……。

「ひょっとしたら夕方から開けているバーがあるかも」

そう言って教えてもらった場所へリクシャーで向かいました。

そこは千林商店街みたいなところでした。

大阪以外の人、わかりませんよね、すんません(汗)

正式名称はS・M・ストリート。

あちらのSMとちゃいますよ〜(笑)

衣料品、靴、カバン、宝石、料理店などの商店がひしめき合っていて、ぎょうさんの買い物客が押し寄せ、えらい賑わい。

「特価でっせ〜! 買い時でっせ〜!」

そんな呼び声があちこちから聞こえてきます。

こうした庶民的な空気、大好きです。

大半が個人商店。

こちらに来てから、日本みたいなチェーン店をあまり見たことがありません。

コーリコッド市内で確認したのは、ケンタッキーフライドチキンとピザハットだけでした。

商店街から少し外れた路地には小さな個人商店が……。

こんな風景を目にすると、日本の昭和やな〜と懐かしくなりますね。

   ☆    ☆    ☆    ☆

くだんのバー、わかりました!

中級丸出しのホテルのバーで、閉まっていたから、門番の警備員に訊くと、小声で「6時から」。

よっしゃ〜!

ぼくの煩悩+執念も相当なモンですな(笑)

オープン直後の午後6時すぎにゾクゾクしながら訪れました。

すでに列ができており、同類が多いなぁ〜と顔が合うと互いに会釈(笑)

「BAR」の看板の照明は消されてました。

店内に入ると、真っ暗。

何も見えへん。

慌てふためいていると、ぼくの後ろの客が「サングラス、外しなはれ」。

そや、サングラスをしていたのを忘れてましたわ。

これ、よくありますねん(笑)

外すと、薄暗い空間が見え、例の食券売り場もありました!

狭いカウンター内にバーテンダーが2人、フロアに5人ほど、そして食券売り場の中にも2人。

インドのバーは、従業員の人口密度が異常に高いです(笑)

とりあえず、南インド産ビールのキングフィッシャー(KINGFISHER)。

爽やかなラガービールです。

ギンギンに冷えてはいなかったけど、暑さで体が火照っており、しかも2日間完全にドライ状態だったので、心底、シビレた!!

こんな経験、初めて。

たまにはアルコールを抜くのもええもんですね(無理かな)。

あっという間に店内は満席になり、投票を報じるテレビの画面をグラス片手に極楽気分で眺めていたら、突然、後ろの方で大声が。

振り返ると、客同士の口論でした。

選挙を巡り意見の対立かな。

すぐさま3人の従業員がその2人を店から追い出し、テレビをコメディー番組に切り替えはりました。

やはり酒が入ると、こんなことになるんや。

知らぬ間に妖しいイルミネーションが灯ってました。

インドのバーはどこもこんな感じです。

2杯目はインド産ウイスキー+ソーダ水。

これ100ルピー(約170円)とめちゃ安かった。

銘柄はわからなかったけど、ごく普通のブレンドウイスキーと思います。

甘味料が入っているのか、やけに甘かったな(笑)

日本に輸入されている高級シングルモルトは庶民とは全く無縁のウイスキーです。

そんなこんなで、ちょっと背徳感を抱きつつ、念願の「もぐり酒場」を体験できました。

チャン、チャン。

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。