武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

その他 日記

叔父と伯母の死を悼んで……

投稿日:2013年3月25日 更新日:

叔父と伯母を同時に亡くしました。

 

叔父は亡きオヤジさんの弟で、享年87。

 

叔母はオヤジさんの兄嫁で、享年91。

 

奇しくも、2人とも22日に鬼籍に入りました。

 

こんなことって、あるんですねぇ。

 

正直、ここ数年、叔父、伯母に会ったことも、意識したことも、話題に上ることもほとんどなかったです。

 

でも、幼いころの記憶を手繰っていくと、2人の存在感の大きさがひしひしと伝わってきます。

 

旧国鉄マンの叔父は、とてもマメな人で、夏になると、家族旅行を計画し、叔父の一家とぼくの一家でよく各地を旅しました。

 

白浜、伊勢、伊豆、広島の音戸、山口の長門……。

 

すべて鮮明に覚えています。

 

あのころ国鉄のフリーパスがあったそうで、交通費を安く抑えることができたのでしょう。

 

その経験がぼくに旅好きの種を蒔き、のちに「ケルト」紀行へと結びついていったのだと思っています。

 

だから、叔父は人生の恩人でもあるのです。

 

伯母の一家は、ぼくの実家(大阪市中央区龍造寺町)の一軒置いての隣に住んでいました。

 

大柄で、太っ腹なところがあり、親に叱られたときはいつも伯母の元に避難していました。

 

「また、悪さしたんやろ」

 

そう言いながらも、伯母の目は笑っていました。

 

朝食も、当時、貴重品だったバターをたっぷり塗り込んだトーストを伯母に食べさせてもらったこともあります。

 

母親の体調が悪いとき、代わりに授業参観に来てくれたり、家庭科の宿題で裁縫をしてくれたり……。

 

新聞社から内定をもらったとき、まるでわが子のように喜んでくれはったのを覚えています。

 

ほんま、優しいお人でした。

 

両親とちがって、おじさん、おばさんとなると、かなり“距離”を感じます。

 

とくにこちらが年齢を重ねると、時々、気にはなるのだけれど、ますます縁遠くなってきて……。

 

でも、まちがいなく、ぼくの人生に大きな影響を与えてくれていたのです。

 

叔父と伯母に出会っていなかったら、きっと今のぼくはないでしょうね。

 

そう思うと、とても愛おしく感じられます。

 

そして、感謝の念に胸が熱くなるのです。

 

おっちゃん、おばちゃん、ほんまにおおきに、ありがとう!!!

 

叔父が他界したことで、オヤジさんの兄弟姉妹はいなくなりました。

 

世の無常です。

 

それを改めて実感しています。

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。