武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

ポーランド紀行(2011年夏)

ポーランド紀行(4)~古都クラクフ

投稿日:2011年8月13日 更新日:

ポーランド紀行の4回目は古都クラクフです。
首都ワルシャワの中央駅から特急に乗って南部の古都クラクフに向かいました。
距離にして250キロ(大阪~尾道)なのに、3時間もかかりました。
どんな特急や~!
クラクフ本駅は存外ににぎわっていました。
駅の地下通路にはパン、本と雑誌、雑貨、みやげ物などを売る店が並んでいます。
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人口約75万の地方都市ですが、14~16世紀に首都として君臨したので、風格があります。
何といっても、第2次大戦中、ポーランドの都市の大半がドイツ軍とソ連軍によって壊滅的な打撃を受けたのに、クラクフはほとんど戦災に遭わなかったのです。
開戦当初(1939年)、ドイツ軍の空襲にさらされましたが(軽微なものでした)、ドイツ軍の軍司令部が置かれたことから、中世の街がそっくりそのまま残ったというわけです。
ラッキーでした!!
旧市街に足を踏み入れると、タイムスリップしてしまいます。
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ユネスコの世界遺産に登録(1978年)されています。
たしかにワルシャワの戦後、造られた中世の街とは違って、ホンマもんの佇まいが感じられます。
目抜き通りを歩いていると、多くの路上ミュージシャンが腕(ノド)を競っていました。
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この女の子はビートルズばかり~♪♪
結婚式を挙げたばかりの幸せなカップルにも会えました。
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これまで「ケルト」の取材などで、数え切れないほどヨーロッパを旅していますが、不思議なことにいつも必ずウェディング姿を目撃します。
旧市街のど真ん中にある広い中央市場広場は、ヨーロッパの街ならどこにでもある観光客がたむろする広場です。
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こういうところのバルやカフェでビールやコーヒーを飲むと、値段がちと高いですよ。
ちょっと外れたところの方が、絶対、雰囲気もサービスもいい。
ポーランドは95%がカトリック信者です。
戦前は、カトリック(主にポーランド人)、ユダヤ教(ユダヤ人)、プロテスタント(主にドイツ人)、東方教会(主にロシア人)といった具合に多民族、多宗教でした。
それがナチス・ドイツによるホロコーストや国境線の変更などによって、戦後はポーランド人のカトリック国になってしまいました。
だからローマ法王の写真をあちこちで見かけます。
ひょっとしたら、ヨーロッパで一番、敬虔なカトリック国なのかもしれません。
政治に対するカトリック勢力の影響力が大きいです。
前の法王ヨハネ・パウロ2世(在位1978~2005年)はポーランド人でしたしね。
当然、司祭や修道士、修道尼もよく目にしました。
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広場からさらに南へ下ると、ヴァヴェル城がデンと構えています。
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ここは観光スポットです。
城の西側を流れるヴィスワ川の対岸に、浮世絵を5000点も所蔵する日本美術・技術センターが建っていました。
そこでポーランド映画界の巨匠アンジェ・ワイダ監督と奇跡的な出会いがあったのですが、そのことは後日、詳細に記述します。
ぼくは観光地というのは正直、好きではないので、城の外見だけを見て、どんどん南下していきました。
しばらくすると、旧市街を抜け、街の雰囲気がガラリと変わりました。
戦前、ユダヤ人が居住していたカジミエーシュ地区です。
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かつてクラクフには22万5000人のユダヤ人が暮らしていましたが、ホロコーストを生き延びたのはわずか1万5000人だけ。
今では1万人いるかどうかです。
それでもこの地区は独特な空気が漂っています。
非常に庶民的なので、ぼくにはピッタリ合いましたが……。
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さらに南へ向かい、高台から街を一望。
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歴史のある街だということが、ひと目でわかります、クラクフは。
しかしそこにも大戦中、言葉で言い尽くせぬほど哀しい出来事がありました。
次回は、スティーヴン・スピルバーグ監督の大作『シンドラーのリスト』(1993年)の舞台を巡ったリポートです。
あの映画は、戦時中のクラクフの物語だったのです。

-ポーランド紀行(2011年夏)

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プロフィール

プロフィール
武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。